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特別展「古代アンデス文明展」レポート

今回は、仙台市博物館で開催中の特別展「古代アンデス文明展」(2018年7月27(金)〜9月30日(日))の様子をご紹介します。(※特別企画展の情報はこちらをご覧下さい。)


これまでに開催されたアンデス文明の展覧会は、「黄金の都シカン発掘展」や「インカ帝国展‐マチュピチュ『発見』100年」などアンデスの地に栄えた特定の文化を紹介してきましたが、今回の「古代アンデス文明展」は、中央アンデス地域に人類が到着した時代から、スペイン人によりインカ帝国が征服されるまでの約1万5000年の歴史を一挙に紹介する内容となっています。ペルーやボリビア国内の博物館からお借りした各文化を代表する貴重な資料が約200点も展示されており、古代文明が好きな方はもちろん、土器が好きな方や、織物好きから金属好き、果てはミイラが好きで好きでたまらない方まで、あらゆるニーズにお応する見所満載の展覧会です。

広告や報道では、古代文明を象徴するような少女のミイラや金の儀式用装身具、金の装飾品などがたくさん取り上げられていますが、実際に会場に足を運んでみると意外にもたくさん目にしたのはリャマでした! 展示資料はもちろん、それ以外にもリャマがたくさん!

ということで、今回はリャマに注目してレポートしたいと思います!

まずは、展示資料をご紹介!

 
「リャマの背に乗る男をかたどった土器」(モチェ文化)。やや足が短めにデフォルメされたこちらのリャマ、うってかわってリアルに表現された顔立ちとのギャップが良い味を出しています。当時のリャマの主要な役割は荷運びでしたが、モチェの土器職人たちは極まれに人を乗せたリャマを作ることがあったそうです。こちらのリャマも背中に男の人が横向きに覆い被さっています。「乗る」というよりしがみついているような不思議な乗り方ですが、実は馬に乗る時のようにリャマの背にまたがった像はまだ見つかっていないのだそうです。モチェの人たちはこんな風にリャマに乗っていたのでしょうか? 気になります…。

 

 
「縄をかけられたラクダ科動物(リャマ?)が描かれた土製の皿」(ナスカ文化)。地上絵で有名なナスカ文化は、色鮮やかな土器や織物が特徴です。こちらの皿形土器も背景に赤の点紋が施されとても鮮やかです。抽象的に描かれたリャマ(?)は楕円形の大きな目が印象的で、ナスカの地上絵とも通じるデザイン性の高い作品となっています。

 

 
「リャマをかたどった土製香炉」(ティワナク文化)。祭祀用・葬送用に作られた香炉で、表面には猛禽類の頭部や、人間の頭部から咲く三つに枝分かれした花が線刻で描かれています。黒っぽい色は還元焼成という焼き方によるもので、良く磨かれた表面は光沢を放っています。還元焼成は日本でも須恵器や瓦で使われており、リャマの顔立ちもどことなくシーサーや狛犬に近いので、なんだか親しみやすい作品です。

 

 
「リャマの頭部をかたどった黒色壺」(中期シカン文化)。成獣のリャマの頭部がほぼ原寸大で作られています。鼻には、動物の頭部につけて引くための綱「端綱(はづな)」がついています。とても忠実に作られており、リャマの特徴である長くて骨張った鼻筋が良く表現されています。ここまで可愛らしくデフォルメされたリャマばかり見ていたので、急に現実に引き戻されたようでハッとさせられます!

 

 
「土製のリャマ像」(ワリ文化)。目玉展示のひとつで、供物用に作られた大きなリャマの全身像です。ワリ地域の一部の祭祀ではリャマを生贄にして埋めた例がよく見られるそうなのですが、土製品で大型のリャマ像はこの1点しか見つかっていないとのこと。どうやら大型の土製品を供物として捧げることは一般的ではなかったようで、こちらは大変貴重な資料です。
写真で見ても、全体的に丸みのあるフォルムや、背中にちょこんと土器をのせている様子がとても可愛らしいのですが、生で見た時のサイズ感がまたたまらないので、こちらはぜひ御自身の目でお確かめ下さい!

 
▲白黒の斑模様に大きな目とぴんと立った耳が可愛らしいリャマ像ですが、足下のパネルを見ると「セルコホーム ズーパラダイス八木山に、この資料によく似たラマ(リャマ)のオセロ君がいるよ!会いに来てね!」というメッセージが! 確かに写真のオセロ君、模様も顔立ちもそっくりです! また、本物のリャマと見比べてみることで、ワリ文化の人々がリャマの特徴をとても良くつかんで作品を仕上げていることもわかります。

 


▲「土製のリャマ像」のコーナーにアンデス文明とリャマの関わりについての説明がありました。牛や馬がいなかったアンデス地域ではラクダ科のリャマが一番大きな家畜であったため、高山や砂漠を越えて交易品を運ぶためによく使われており、今でもキャラバン(隊商)を組むときに利用されることがあるそうです。リャマ自身も、肉は食用、毛や皮は織物、骨はフルートや錐・針などの日用品、腱は丈夫な紐、と余すことなく使われアンデスの人々の生活を支えてきました。また民間治療の儀式や儀礼・埋葬時の供物として利用されることもあり、アンデス社会の中で重要な家畜として扱われているそうです。
私たちにはあまり馴染みのないリャマですが、アンデスの人々にとっては身近で大切な存在なんですね。

 

展示資料以外にもリャマをたくさん見つけたのでご紹介します!

 
▲1つ目は展覧会の解説パネルです。パネル左上には展示資料「土製のリャマ像」をモチーフにしたキャラクターが描かれています。リャマ像の可愛らしさがぎゅっと詰まったイラストで展示の解説を彩っています。

 

 
▲2つ目はプレイミュージアムイベント「プラ板でアンデスキャラ!」です。プレイミュージアムは、参加自由・材料費無料(※常設展観覧料・特別企画展チケットが必要)で体験することができます。「古代アンデス文明展」開催期間中は、展示資料をイラスト化したキャラクターを透明なプラスティック板に描いてしおりを作ることができます。記念にさっそく作ってみました!


▲しおりは太いサイズと細いサイズの2通り選ぶことが出来ます。イラストは全部で7種類。どれも見覚えのある展示資料がモチーフになっていて、どれにしようか悩みますが、ここはやはりリャマにします! リャマは「縄をかけられたラクダ科動物(リャマ?)が描かれた土製の皿」と、「土製のリャマ像」の2種類ありました。せっかくなので2つとも作ります。
 
▲プラスティック板が動かないように台紙のイラストの上にテープで貼り付け、好きな油性ペンで丁寧になぞります。スタッフの方から教えていただいたコツは、いきなり濃い色で塗るとにじんでしまうので、薄い色から塗るのがおすすめだそうです。教えを守りつつ、はみださないよう必死になぞります。


▲なぞり終わったら台紙からはずしてプラスティック板にリボンを通せば完成です! 自由に色が塗れるので、カラフルに仕上げても良し、シンプルに仕上げても良しです。ちなみに自宅に持ち帰ってトースターで焼くとキーホルダーにもできるそうです。気に入った展示資料のグッズを自分で作ることができるのは嬉しいですね。とても簡単なので小さなお子さまも気軽にお楽しみいただけます!

 

 
▲3つ目は八木山動物公園のリャマ、オセロ君の等身大パネルと写真を撮ろう!!のコーナーです! 2階ロビーに設置されているので、どなたでも撮影いただけます。アンデスの衣装を着て「土製のリャマ像」とそっくりなオセロ君と一緒に写真が撮れるということで、さっそく羽織と巻物を手に撮影してもらいました! アンデスの織物は色使いが鮮やかで素敵なものばかり。他にも帽子などいろいろな衣装があるので、撮影される際にはアンデス流コーディネートもお楽しみ下さい! それにしてもオセロ君、昨年八木山動物公園で生まれたばかりなので、まだ小さいかと思っていましたが、いざ横に並んでみると思っていた以上に大きいです。しかしスタッフのお話を聞くと、実はオセロ君は身長・体重ともに他のリャマと比べると小さい方とのこと! リャマって大きいんですね。さすがアンデスの人々の荷運びを担っていただけあります! 等身大パネルならではの発見でした。


▲パネルで紹介されていた八木山動物公園のオセロ君の仲間たちを見てみると、どのリャマも色や顔立ちが違っていて、とても個性的なことに驚きます。そうすると「土製のリャマ像」とオセロ君のそっくり具合は実はとても奇跡的なことではないかと思えてきます。
そんなことを考えていると、「古代アンデス文明展」を見ている内にリャマにもオセロ君にもとても愛着が湧いていることに気がつきました! まだ見ぬオセロ君、そしてその仲間たちに会いに八木山動物公園にも遊びに行きたいです。

 


▲4つ目は、8月10日(金)に開催した「SMMAクロスイベント 八木山で生まれたよ! ラマのオセロ君クイズ」です。残念なことにオセロ君は来ることができませんでしたが、八木山動物公園のスタッフがリャマの生態や、オセロ君にまるわるクイズを出題しました。仙台市博物館と八木山動物公園による異色のコラボレーション! その様子は後日レポートでご紹介しますので、そちらも楽しみにお待ち下さい!

 

リャマだけでもこんなに見所のある「古代アンデス文明展」ですが嬉しいことに一部を除いたほとんどの資料が撮影可能となっています。約200点もある資料を見れば、きっとお気に入りが見つかるはず! 目で楽しんだ後は、ペルーやボリビアに帰ってしまう前にぜひ御自身のカメラにも収めてみて下さい。
ちなみに、こちらは巡回展ですが、東北・北海道エリアでは仙台市博物館のみの開催となっております! 仙台にお住まいの方はもちろん、ちょっと遠くにお住まいの方もぜひ足を伸ばしてみて下さい。

(事務局・帖地)

【お問い合わせ】
仙台市博物館
TEL: 022-225-3074

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