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SMMAクロスイベント 仙台市博物館第37回市史講座・東北大学史料館 企画展公開講座「近代の風景~地図・古写真・公文書でみる仙台」レポート

平成30年12月2日(日曜日)、東北大学片平キャンパスの片平さくらホールにて、第37回市史講座 兼 東北大学史料館秋季特別展示記念講演会 をSMMAクロスイベントとして実施しました。

 

市史講座とは、仙台市史編さん事業の成果を市民の皆さまに広く還元するため、毎年、仙台市博物館が開催している講座です。

※『仙台市史』をご存じない方は、博物館やお近くの図書館で、ぜひご覧ください!

 

第37回目となった今回の講座では、「近代の風景~地図・古写真・公文書でみる仙台」と題して、東北大学史料館と共同開催しました。明治150年、仙台市政令指定都市30年を記念して、明治から昭和の仙台の歴史をひもとく講演を企画しました。演題と講師は以下の通りです。

 

演題1「公文書から読み解く地域の記憶」

講師: 蓮沼 素子氏(秋田県大仙市総務部総務課アーカイブズ 主査)

演題2「古地図と絵ハガキで見る100年前の仙台」

講師: 佐藤 正実氏(NPO法人20世紀アーカイブ仙台 副理事長・有限会社イーピー 風の時編集部 代表取締役)

 

会場の片平さくらホール2階会議室は、定員156名。当日は満席に近い148名の方にご参加いただきました。東北大学史料館の柳原敏昭館長からの主催者代表挨拶では、講師両名の肩書きにある「アーカイブ」が、人間の活動の記録という意味であるということや記録の重要性について言及されました。

 

    

 

講師の先生方のお話について、アンケートでは、「大変分かりやすかった」「分かりやすかった」との回答が約8割に達し、とくに「街歩きガイドに大いに参考とさせて頂きます」「後世に記録を残すのは大切」「アーカイブズの重要性を再認識した」などの声から、身近な記録資料の重要性と、そこから過去の歴史・景観を読み解く手法の面白さについて、認識を新たにした参加者が多かったようです。

 

とくに、ビジュアルだけでも楽しめる古地図や絵ハガキについては、面白さを実感した参加者が多い一方、公文書(アーカイブズ運用)は、世間一般における認知(浸透)度との兼ね合いもあるのか、内容の理解に苦労した参加者も少なくなかったようです。

 

「公文書は専門家しか見られないものと思っていた。自分のルーツを探りに行ってみたい」「公文書だけではなく、市井の生活に関わる記録にアクセスできる制度施設を」との意見もあり、こうした声を、今後の博物館や公文書館の利用にどう活かしていくかが課題と思われます。

 

また、関連イベントとして、講座の前に東北大学史料館の職員による片平キャンパスツアーをおこないました。東北大学発祥の地である片平キャンパスは、1907年(明治40)の東北帝国大学創設以前から旧制第二高等学校や、仙台医学専門学校などの敷地としても使用されてきた長い歴史があります。先着40名のところ、好評のため、46名の方にご参加いただき、東北大学片平キャンパス内にある、文化財収蔵庫(旧第二高等学校書庫)、本部棟1(旧理学部化学教室)、史料館、魯迅の階段教室など、登録有形文化財についての解説に、興味深く耳を傾ける参加者の姿が印象的でした。

(仙台市博物館 黒田、長澤、佐藤)

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