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【訪問レポート】西公園SL広場にある煉瓦洞窟!?を探る。

このレポートでは、SMMA施設近隣の文化資源と「ミュージアム+α」として、スタッフ目線で紹介していきたいと思います。

皆さんは青葉区西公園C60広場に行ったことがありますか?

せんだいメディアテークにも近いこの場所で保存されている蒸気機関車C60はかつては東北本線で活躍し、当時の花形列車であった特急はつかり(現在の新幹線はやぶさの先祖!)の牽引機としても活躍しました。路線の電化とともに引退を迎えますが、引退を惜しむ小学生の声やC60型の記念すべきトップナンバーであったことから、解体されることなく1969年(昭和44年)に西公園に設置され、それ以来市民のシンボルとして大切に保管されてきました。蒸気機関車は昭和40年代(1965~1975)に全国各地で終焉を迎えましたが、同時に全国で熱狂的な「SLブーム」が巻き起こります。引退を迎えても地域の小学校や公民館、駅前など市民のシンボルとして保存されるケースが多く、待ち合わせ場所に利用したり、SLの周りで遊んだ経験がある方もいらっしゃるかもしれません。そのブームから50年以上が経過し、時間と共にSLも保存状態が悪化してしまうケースも問題となっていますが、この西公園のC60は西公園再整備事業と共に屋根が設置され、定期的清掃も行われるなど良好な保存状態が維持されています。

せんだいメディアテークや西公園方面にお越しの際は、ぜひC60もご覧になってはいかがでしょうか。

・・・と、鉄道ファンの私がSLの紹介をしつつ、この日は西公園C60広場に隠されたもう一つの秘密を探るべく、この場所に向かいました。

SLの北側、煉瓦の建物の入り口が開いていました。

のぞくと螺旋状の階段が続いており、地下へと続いています。

実はここが、仙台のインフラの歴史を紐解く重要な地下へと繋がる階段で、

煉瓦下水道見学施設「杜の都れんが下水洞窟」と名付けられています。

仙台市では明治32年(1899年)から当時流行したコレラなどの伝染病を防ぐ目的で下水道の整備が進められました。完成は明治33年(1900年)!つまり、今年で125年を迎えたことになります。その時に建設された煉瓦造りの下水道が現在でも市内で3ヶ所残っており、現役で使われています。そのうちの一つが西公園再整備事業の中で見学できるように整備されました。

仙台市建設局下水道経営部の職員の方の案内で螺旋階段を下ると、煉瓦が口を開けています。ここがまさに煉瓦下水道の一部で中に入れるように整備されていました。

入ってみると、大人がすれ違うには少々狭い煉瓦洞窟の先に光が見え、風が轟々と吹き込んできます。実はこの先の穴は広瀬川に通じており、風はそこから吹き込んでいることを教えていただきました。

足元は濡れてはいますが、現時点で水は流れていないようです。この後ろを振り返ると風とは別に轟々と音を立てている空間があるので向かってみました。

職員の方がライトで照らしているのが定禅寺通方面で、この流路を通って、下水は仙台港付近にある南蒲生浄化センターへと流れていくそうです。この場所は「雨水吐き室」と呼ばれており、大雨で水量が増えたときは写真の手前側に写っている金属板を超えて、先ほどの煉瓦洞窟を通って、広瀬川に直接水を流す仕組みとなっています。なお、浄化センターは街中から流れ着いた汚水から汚泥を取り除いて綺麗にして、海に流す施設で、市民の生活にとても大切な場所です。SMMA関連では、2019年にせんだい3.11メモリアル交流館で東日本大震災の時の南蒲生浄化センターの戦いを記録した企画展を行なったことがありました。

ちなみに、この煉瓦下水道は「合流式」という方式で、明治時代に生活排水と雨水を直接河川に流す目的で作られました。しかし、戦後は河川の水質悪化対策やトイレの水洗化も影響し、新たに流路を設置し、浄化センター方面へと流れるように変わったそうです。煉瓦洞窟は125年経った今でも現役ですが、緊急時の流路ということになりますね。

螺旋階段を降りた煉瓦洞窟の入り口には煉瓦洞窟と下水道の仕組みを説明するパネルが用意されており、職員の方によって丁寧な説明をしていただきました。

改めて見てみると煉瓦がしっかりと組み合わされており、頑丈な造りということがわかります。馬蹄型と呼ばれる造りだそうです。

煉瓦下水道見学施設「杜の都れんが下水洞窟」は常時見学できるわけでありませんが、今回のように職員の方に案内していただける見学会が定期的に開催されています。

こちらから日程、時間を確認の上、杜の都の歴史探訪に申し込んでみてはいかがでしょうか!(※服装や天候など条件によって見学ができない可能性もあるのでホームページ上の注意事項をよくお読みください!)

地上に戻って見学会は解散となりました。

ふと横を見ると、マンホールが口を開けています。

 

実はこちらのマンホールにはイラストが描かれており、

仙台在住の作家、伊坂幸太郎さん原作の映画『ゴールデンスランバー』(2010)のロケ地として煉瓦洞窟が使われたことを記念してデザインされたものとなっています!

全国各地で下水道広報の一環でマンホールカードが配布され、実際に集めている方も多いかもしれません。

せんだいメディアテーク1F受付でも、「ゴールデンスランバーの下水道ロケ」をデザインしたカードを配布しています!

西公園の施設を見学したお帰りにぜひお立ち寄りください。

(SMMA事務局・小山悠)

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