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2017/07/19
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館 ワークショップ「うちわを作ろう」体験レポート
7月に入り、梅雨が明けたのか?と思うほど快晴が続きましたね。
連日の猛暑の中、「うちわが欲しいな…」と何度も思いました。
そこで7月8日(土)に東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館で開催されたワークショップ「うちわを作ろう」に参加しました!
東北福祉大学は仙台市内の7か所にキャンパスがあり、
芹沢銈介美術工芸館は「国見キャンパス」の2号館内にあります。
仙台市営バス「東北福祉大前」で下車し、2号館を目指します。
バス停には、現在開催中の企画展「芹沢銈介の模様と色彩—色ソメツ心ソメツ—」の大きな看板が設置されていました。
レンガ色のキレイなキャンパス内を歩きます。
バス停から程無く歩くと東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館に到着です!
入り口は七夕仕様となっていました。
前回の企画展終了後、芹沢銈介美術工芸館はリニューアルしました。
入り口ホールは、芹沢銈介美術工芸館の紹介をはじめ、芹沢銈介に関する作品や書籍、またミュージアムショップ商品の紹介等が展示されています。
ここでは芹沢銈介美術工芸館や芹沢銈介自身のことを頭に入れたり、
「帰りにどんなお土産を買おうかな」と考えたりしながら楽しむことができます。
入り口ホールの展示を十分に楽しみ、気分を高め、それから正面のエレベーターで5階の受付へ向かいましょう。
「うちわを作ろう」ワークショップは、5階ミュージアムショップ内で実施されます。
ミュージアムショップのカウンターで材料費500円を支払い、ワークショップ「うちわを作ろう」開始です!
材料は、香川県丸亀市から取り寄せたうちわ骨を使用します(香川県丸亀市はうちわが特産品!)
うちわ骨に貼り付けられている和紙は、芹沢銈介も愛用していたという富山県の越中八尾和紙です。
そしてこの和紙に型紙を重ね、その上から刷毛で色をのせていく「合羽刷り」という技法を用いて色を染めていきます。
型紙の模様は全6種類ありました。
どれも夏らしい模様で、どれにしようかとここは悩みどころです。
(ちなみに、一番難易度が高い模様は右下の「藤立涌」だそうです。)
事務局・今野はクジラ柄を選びました!
型紙は、ずれないようにしっかりとうちわの下地にクリップで留めます。
そして小刷毛を使って顔料を染めていきます。
顔料は豆汁(ごじる)という大豆のしぼり汁で溶いているそうです。
豆汁は色の定着を促進し、滲みにくくする効果があるので、染物の世界では一般的に使われているのだとか。
色付けが終わりました。
次に、余分な外枠部分をはさみで切り取っていきます。
うちわの形になりました!が、ここで終わりではありません。
ふちを保護する作業に移ります。
糊をつけて、
↓写真のように貼っていきます。
クジラの目玉を付け加えたら完成です!(作業時間 約20分)
今回初めて合羽刷りという型紙を用いた染色方法に挑戦しましたが、滲みや色むらが目立つ出来となりました…。
ですが、そのような滲みやかすれも味があり、「良さ」に感じてしまうのは和紙の力でしょうか。
現在開催中の企画展の副題となっている「色ソメツ心ソメツ」ですが、これは「民藝運動の父」である柳宗悦の言葉です。
「染物の世界は色の世界である。實はそれよりももつと、心の世界なのである。色を染めはするのだが、實はもつと心を染めてゐるのである。心で色が様々な調子に變る。(…)だから色を染めてはゐるのだが、更に尚、心をも、それに染めつけてゐるのである。」
*「染物の世界は色の世界である。実はそれよりももっと、心の世界なのである。色を染めはするのだが、実はもっと心を染めているのである。心で色が様々な調子に変わる。(…)だから色を染めてはいるのだが、更に尚、心をも、それに染めつけているのである。」
柳宗悦のこの言葉を聞くと、クジラが滲んでかすれてしまったのは、
私自身の心に乱れがあったからなのでしょうか…。
次こそは、体調や気持ちも整えてまた挑戦したいと思いました。
また七夕の季節に合わせて「短冊を書こう」も開催されていました。
たくさんの願い事が吊るされてありました。
事務局・今野も願い事を…。
(残念ながら「短冊を書こう」は8日で終了しました。)
目当てのうちわを手に入れ、短冊に願いも込めることができ満足した事務局・今野は、
日差しが強いなかうちわを片手に涼みながら帰路に着きました。
(実際に使用してみると、うちわ骨がしっかりとしているので長く愛用できるうちわになりそうです。)
ワークショップ「うちわを作ろう」は、7月22日(土)にも実施されます。(受付時間 11:00-15:00)
また企画展「芹沢銈介の模様と色彩—色ソメツ心ソメツ—」は同7月22日に最終日を迎えます。
※同時開催「アフリカのマスク—芹沢銈介コレクションより—」
柳宗悦は、芹沢銈介自身について次のように記しています。
「芹澤の手にかゝると不思議とどんなものも美しい模様に生れ變る。(…)染物になくてならない二つの大事な要素、模様と色彩、この二つへの際立つた天與の才が芹澤に惠まれてゐる」
*「芹澤の手にかかると不思議とどんなものも美しい模様に生まれ変わる。(…)染物になくてならない二つの大事な要素、模様と色彩、この二つへの際立った天与の才が芹澤に恵まれている」
この言葉の通り芹沢銈介は、様々なものを模様として表現し、その創り出した模様に秀逸な色彩感覚でもって染色を施しました。
「春夏秋冬」といった文字そのもの、50種類もの四季折々の草花、さらには筍までも模様として取り入れ、
そこに彩色を施した芹沢銈介の作品が今回の企画展で多数展示されています。
作品の中には何が模様で描かれているのか、どこに描かれているのかを確認しながら鑑賞するのも楽しいかもしれません。
さらに併せて開催されている「アフリカのマスク」では、打って変わって不思議な空気に包まれた展示室のなか、
芹沢銈介が収集したアフリカ各国の様々な民族が儀式等で使用したマスクを展示しています。
工芸品コレクターでもあった芹沢銈介の鑑賞眼を感じながら、マスクの独特な表情もじっくりとご堪能ください。
企画展は7月22日までの開催ですので(ワークショップも同日開催)、
みなさま東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館までお急ぎください。
ここで耳より情報です!
*7/31(月)〜8/4(金)東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館は特別開館します!
7月31日(月)から8月4日(金)まで仙台市内では
「第41回 全国高等学校総合文化祭 みやぎ総文2017」が開催されます。
これに合わせて、芹沢銈介美術工芸館が特別開館となります!(会期中毎日開館)
※総文祭参加者に限らず、一般のみなさんも入館・参加できます。
◆企画展「芹沢銈介の模様と色彩—色ソメツ心ソメツ—」(10:00-16:00)
◆ワークショップ「和紙に模様を染めてみよう」(受付時間11:00-15:00、材料費300円)
この機会に稀代の染色家である芹沢銈介の作品世界に、
そして実際に染物の世界に触れてみてはいかがでしょうか。
【アクセス】
仙台市営バス「東北福祉大前」下車よりすぐ
(東北福祉大学 国見キャンパス 2号館内)
(事務局・今野)