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コラム
八木山、サクラ(桜)、そして動物たち

 仙台市八木山動物公園が開園したのは、昭和40年(1965年)10月のことです。そのころアフリカ園のところに野球場が残されていました。昭和4年(1929年)6月に完成した宮城県営八木山野球場です。その大きさは、改修前のクリネックススタジアム宮城と同じくらいで、観客2万3千人収容可能の大球場でした。当時の報道によると、「東洋一を誇る八木山球場」と紹介されています。

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 ここでは戦前、日米野球や県内の各種試合などが催されました。今でも語り草になっているのは、78年前の昭和9年(1934年)11月9日、ここで行なわれました日米親善野球です。
米大リーグのスーパースター、ベーブルースが2本のホームランを、来日して初めて仙台で打ったのです。その記念として、平成14年、市民の尽力でアフリカ園内にベーブルースの等身大の銅像が建立されました。動物公園に銅像?と思われる方がいらっしゃるかと思います。いや、いや、このおかげで、日本で八木山だけが三種類のゾウを展示することになりました。アフリカゾウ、インドゾウとベーブルースゾウ(像)です。

旧野球場の位置は、現在のアフリカ生態園とガン(雁)生態園の園路交差点あたりがホームベースで、外野席はライト側がカバ運動場、センター側がサイ運動場で、レフト側がアフリカゾウ舎です。かつては、外野席の後ろにライトからセンター、そしてレフトまで桜並木がありました。ゴールデンウィークの頃の桜が満開の頃には、それは、それは見事だったそうです。その並木の一部が今でも残っています。ゴールデンウィークにアフリカ生態園とガン生態園の園路交差点近くの高台からカバ、サイやアフリカゾウ運動場を見渡すと、アフリカに住んでいる動物たちのバックに桜が映ります。妙にアフリカの動物と相まって、なかなかいい雰囲気です(fig.1)。

今はなくなってしまいましたが、サイとカバ舎裏の園路にはシダレザクラが数本あって、その下を歩きながらゴリラ運動場に行く際は風情がありました。現在の中央広場からチンパンジーのところに降りる坂の園路の脇にも、まだ桜が残っています。次の動物を見るまでのつかの間の楽しみでもあります。レッサーパンダ運動場前の桜は、今でもたくさんの花をつけ、かわいいパンダときれいな桜が非常にあっています(fig.2)。猛禽舎(ワシやタカの展示場)と猛獣舎裏の園路の両側の桜もきれいですよ。

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サクラの名前のついている動物は、鳥類の中に、サクラスズメとサクラボウシインコがいます。両種共に残念ながら八木山動物公園にはおりません。しかし、平成22年に亡くなってしまいましたが、東京都多摩動物公園から来園したメスのレッサーパンダの愛称は「サクラ」でした。きれいでかわいい顔をしていたので向こうの動物園でつけたのでしょう。サクラスズメは、カエデチョウ科のセイロウチョウ属でオーストラリア南部に生息しています。サクラ色はしていないので、美しい色のスズメかと思っていた方には残念です。サクラスズメは何故サクラと云うかと調べてみると、胸の模様がサクラの木と似ているからだとか、太陽光線に当てると頭が桜餅色になるからだとか言われているようですが真実はわかりません。サクラボウシインコは、インコ科のボウシインコ属で、あの有名なケイマン島の国鳥です。サクラ色がきれいなインコです。

最後に、さくら(桜)肉の馬肉のお話しをしましょう。馬肉の色が桜色であるからや、桜の咲く時期の馬肉は冬の間に草や穀類を沢山食べて脂がのって美味しいことからといわれています。しかし、肉の桜色をしている時間は短かいし、鍋物として食べられていたものが、桜の咲く時期に美味しいというのも考え難いような気がします。それよりは、江戸時代に獣肉を食べることが禁じられており、そのまま呼ぶことがはばかられたため、猪の肉を「牡丹(ぼたん)」、鹿の肉を「紅葉(もみじ)」と呼んでいたように、馬肉にも植物系の名前をつけようとしたことが基本としてあったように思われます。そこに「桜」が選ばれた理由として切った時の肉の色があり、「桜肉」と呼ばれるようになったのではないでしょうか。今晩は馬肉の刺身で一杯、いかがでしょうか。

仙台市八木山動物公園 学芸員/飼育展示課長  阿部敏計

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