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仙台文学館「忍ペンまん丸展」レポート

今回は、仙台文学館で開催中の夏休み企画「忍ペンまん丸」展(2022年7月16日〜9月11日)の様子をご紹介します。

■ 展示の詳細はこちらから
第22回こども文学館えほんのひろば「忍ペンまん丸」展

 

「忍ペンまん丸」とは?
1995年から1999年にかけて「月刊少年ガンガン」(エニックス)で連載された、宮城県出身の漫画界の巨匠・いがらしみきお先生によるアクションコメディ漫画です。ペンギンの「まん丸」がひょんなことから忍者になり、動物の忍者の仲間たちと冒険のものがたりを繰り広げます。


▲ペンギン「まん丸」の大きな折り紙がお出迎え

まず最初に目に飛び込んできたのは、コミックスの表紙用イラスト。色鮮やかな全11巻分のイラストは、まん丸たちの冒険物語を彷彿とさせます。

この展示の見どころは、「忍ペンまん丸」のストーリーに沿って展示された約90点もの漫画原稿です。キャラクター紹介や用語解説もあり、「忍ペンまん丸」を全く知らなくても、数多くの原稿からストーリーが読み取れます。

原稿のサイズはB4ほどで、思っていたよりやや大きめのサイズ。現在、漫画制作はパソコンで行うのが主流ですが、「忍ペンまん丸」の連載時は全てアナログな環境で制作されていました。今やほとんど使われなくなってしまったスクリーントーンなど、紙の漫画原稿ならではの技術もじっくり見ることができます。

▲まん丸と念雅山たちの初対面のシーン。「まん丸」は頭領のネンガが名付けたもので、初めはデイジーという名前だった

文学館担当者の方イチオシのストーリはすばりこの写真にもある第1回目のお話。動物たちが忍者として修行する「念雅山」の所有者である人間「じいやさん」が、山へペンギンを連れてくるところから物語が始まります。じいやさんがペンギンを連れてきた理由は「かわいいから」。あまりに気の抜けた理由に、忍者の頭領・ネンガは怒鳴りますが、じいやさんの必死のお願いと、純真なペンギンの姿にネンガは折れ、ペンギンは念雅山に住むことになります。

 

「忍ペンまん丸」にはさまざまなキャラクターが出てきますが、主人公のまん丸はもちろん、まん丸の師匠である「ネンガ」にも注目です。常にどっしりと構え、まん丸たちを鍛えてくれる、頼れるおとなのクマ忍者です。一方で、ブランコや砂遊びなど子どもの遊びが大好きという意外な一面も。悪に染まってしまった実の弟・ギオとの対決や、紫狼沙(しろうさ)という謎に包まれたオオカミ忍者との因縁もあり、「忍ペンまん丸」という作品のシリアスな部分を一手に引き受けたようなキャラクターです。
▲弟子たちに「念法」を教えるネンガ

いがらし先生が「忍ペンまん丸」を連載していた頃の思い出をエッセイとして描き下ろした4ページの漫画も展示されています。先生が初日に展示を見にきたとき、展示原稿を見ながら「このシーンのスクリーントーン貼りは大変だったなあ」と当時を知るアシスタントさんとお話されていたそうです。トーン貼りに失敗すると、B4サイズ1枚で数百円するトーンがほとんど無駄になってしまうのだとか。

▲いがらし先生の書き下ろし漫画。こっそり娘さんが投稿したキャラクターを登場させていたというほっこりした話も

見開きの扉絵や、表紙絵の展示もありました。どれもキャラクターが生き生きしていてとっても楽しそうです。

また、主人公・まん丸の得意技「おり紙の術」にちなんで募集した折り紙作品が2階の無料スペースに展示されています。数々の力作は必見です。

晴れの日は屋外イベント「まん丸かくれんぼ」が開催されます。文学館の庭に隠れているまん丸を探して、ワークシートにあるクイズを解く自由参加型のイベントです。文学館の豊かな自然を感じながら楽しむことができます。

なお、残念ながら今回は忍ペンまん丸のグッズはないそうですが、なんと、いがらし先生の直筆サイン入りポスターを販売しているそうです!もちろん漫画も全巻販売中です。

滅多に見る機会のない、たくさんの原稿に囲まれたとても贅沢な展示でした。みなさんもまん丸にぜひ会いに行ってみてください!「忍ペンまん丸」展は9月11日(日)まで開催中です。

(SMMA事務局・葛西)

 

<お問い合わせ>
仙台文学館
〒981-0902 仙台市青葉区北根2-7-1
TEL 022(271)3020 / FAX 022(271)3044

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