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トワイライトサロン 500回達成記念 第一部「2018年宇宙の旅―新しくなった展示室を台長とめぐろう!―」レポート

今回は、6月30日(土)に仙台市天文台で開催された「トワイライトサロン 500回達成記念 第一部 2018年宇宙の旅―新しくなった展示室を台長とめぐろう!―」の様子をお届けします。

 
毎週土曜日の夜に仙台市天文台のオープンスペースで開催されるトワイライトサロン
定員なし、参加無料、さらに飲食自由という気軽な雰囲気の中で、土佐台長から宇宙のお話を聞くことができます。

そんな天文台の名物イベントがなんと記念すべき500回を迎えることとなりました!

第1回が開催されたのは2008年7月5日ということで今年で開催10年目になります。ほとんど毎週、しかも毎回異なるテーマのお話で来場者を楽しませて下さった土佐台長。台長の知識と話題の豊富さにも、話しても話してもネタが尽きない宇宙の壮大さにも驚きです。


今回は500回達成記念イベントということで、第一部ではいつものオープンスペースを飛び出して、2018年4月に新しくなった展示室の見所をツアー仕立てでご案内していただきました!
毎週日曜日と祝日に天文台のスタッフが展示ツアーを実施していますが、土佐台長が展示ツアーを行うのは初めてのことだそうです。

 
「天文台長と一緒に、宇宙への旅に出かけましょう!」
オープンスペースで開催の挨拶を聞いた後は、赤い宇宙服をまとった土佐台長のロゴに見送られながら展示室へ向かいます。

 
まずは、新しくできた映像展示「天の川銀河」についてお話していただきました。
こちらは一番最初に通るコーナーで、大きなスクリーンに映し出されたたくさんの星に囲まれ宇宙旅行を楽しむことが出来ます。このコーナーには、パネルや音声による解説がないのですが、土佐台長いわく、映像展示を見て世俗の埃を払ってから、この後広がる宇宙の世界を楽しんでもらいたい! とのこと。
実はこの映像、ランダムに見える星の動きが天の川を外から眺めた視点であったり、天の川の中の1つの星になって一緒に動いている視点であったりと非常に細かく作り込まれているのですが、そんなことは一端忘れて理屈抜きに楽しんで欲しいとのお言葉。教えていただいた通り、ただただ壮大な宇宙の星々に囲まれてみたところ、日常を忘れてとても癒やされました。

 
▲ちなみに、映像展示は仙台市天文台の空から始まり、地球を飛び出して太陽系、天の川、銀河系へと広がり、最後にはまた天文台の空に帰ってきます。スクリーンの中央左下にきちんと天文台が映っているのですが(左)、土佐台長のお話を聞くまで全く気がつきませんでした! まさしく今自分が立っている場所から始まる宇宙の旅だと思うと、また一段と感慨深いです。

 
次は、「GEN理の広場」を紹介していただきました。こちらも新しくできたコーナーで、体験を通して宇宙や天文について楽しく学ぶことができます。「原理」ではなく「GEN理」となっているのは、「G」=「ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)」、「E」=「アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)」、「N」=「アイザック・ニュートン(Isaac Newton)」と、宇宙の法則を考える上で必要不可欠な3人の研究者の頭文字をとってのことだそうです。


こちらは本来、体験が目玉のコーナーなのですが、最初に土佐台長がお話してくださったのは、なんと壁のイラストについてでした!
「GEN理の広場」の壁には先ほどの3人を始めとする天文学に欠かすことができない研究者や、法則がたくさん描かれているそうです。


▲例えば、ガリレオ・ガリレイと望遠鏡。ガリレオは自分で作った望遠鏡で宇宙を観測し、木星の衛星や天の川が無数の星の集まりからできていることなどを発見しました。


アルバート・アインシュタイン。壁に描かれている「relativity and gravity(相対性理論と重力)」は、宇宙の膨張や、重力波、ブラックホールなど、未だ解明されていない宇宙の神秘に挑むアインシュタインの代表的な研究です。

 
アイザック・ニュートンは光を研究し、白く見える光が実は様々な色の集まりだということを明らかにしました。虹や星の輝きを考える上で重要な研究です。

他にも、ニュートンが木から落ちるリンゴを見てひらめいたエピソードで有名な万有引力を表す数式など、天文学や物理学好きにはたまらないイラストがちりばめられていますので、「GEN理の広場」に行かれた際は、おしゃれなだけではない壁のイラストにもぜひご注目下さい。


壁の説明の後は、体験型の展示を実演付きで説明して下さいました。展示と同じ道具を使って物体の大きさと回転の早さの関係を探ります。

 
▲実験の結果、物体が大きくなると回転が遅くなり(左)、物体が小さくなると回転が速くなるようです(右)。
確かに、物体が小さい方(右)は回転が早すぎて写真では捉えきれませんでした。 ブレています!
展示だけでも分かりやすいのですが、実験を目にしながらお話を聞くことで、より理解が深まりました。


▲ちなみに「GEN理の広場」の壁は外側にも注目です。「描かれた無数の星は実際の星空を元にしているので、知っている星座があるか探してみて下さい。」と土佐台長。

 

前半では、新しくなったコーナーを中心にご紹介いただきましたが、後半では既存のコーナーから土佐台長おすすめの展示を教えていただきました。

 
こちらは、「大気圏エリア」にある隕石を展示しているコーナーです。隕石は、地球以外の天体の小片が地上に落下した物ですが、ほとんどが大気圏で燃え尽きてしまうため、落下は数年に一度という低い頻度でしか起こらないそうです。


▲中でも、土佐台長のおすすめは実際に手で触れることができる「オデッサ隕石」。おすすめポイントは、宇宙の一部に触れる! という貴重な体験ができる点だそうです。「宇宙の一部」と聞くと壮大なスケールにドキドキしてきます。


最後にご紹介いただいたのが「天文学の歴史エリア」。歴代の天文学者や宇宙観の変遷など、天文学の歴史について学ぶことができるコーナーです。

▲土佐台長がぜひ見て欲しい! とおすすめするのは、平成24年9月に国の重要文化財の指定を受けた「仙台藩天文観測器機」。江戸時代に仙台藩が実際に使用していた物で、天を模型にした「天球儀」(左)、星の位置を観測する「渾天儀」(中)、星の高度を観測する「象限儀」(右)が展示されています。歴史系の博物館ではなく、天文台で仙台藩ゆかりの重要文化財を見ることができるとは驚きました! 仙台藩の天文学の実態だけではなく、江戸時代の天体観測の精度を知る上でも重要なこちらの資料、天文学好きの方はもちろん、歴史好きの方もぜひご覧になって下さい。


お話に聞き入っていると、あっという間に終了の時間となってしまいました。導入や壁のイラストなど、普段なかなか解説を聞くことができない部分について楽しく分かりやすくお話して下さった土佐台長。ありがとうございました!
細部まで作り込まれた展示には、台長を始めとするスタッフのみなさんの宇宙への愛がたくさん込められていることが伝わってくる展示ツアーでした。
宇宙への愛あふれる土佐台長のお話が聞きたい! と思われた方、これからもトワイライトサロン毎週土曜日に開催されますので、ぜひぜひ足をお運び下さい。

★トワイライトサロン★
開催日:毎週土曜日
時 間:17:00 – 17:45
場 所:オープンスペース
料 金:無料
定 員:定員なし
申し込:不要


▲ちなみに、トワイライトサロンが開催されるオープンスペースには天体などを背景に撮影できるフォトスポットもあります! 画像は時期によって異なっており、撮影時はオーロラでしたが、現在は火星の風景と一緒に撮影することができます。 楽しく写真が撮れる天文台らしいアイテムも揃っているのであわせてお楽しみ下さい!

(事務局・帖地)

【お問い合わせ】
仙台市天文台
TEL:022-391-1300

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