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SMMAクロスイベントレポート「きみも富沢博士!~”かせき”ってなあに?~」

今年度、地底の森ミュージアムでは、東北大学総合学術博物館とみちのく博物楽団と併せて3団体でクロスイベントを行いました。

昨年度までは、「みんなでどろんこ!」というタイトルで、当館の野外展示「氷河期の森」の中にある池の生きものの採集と観察を行っていましたが、今年度は内容をリニューアル!

最初に、東北大学総合学術博物館と地底の森ミュージアムにある「共通したもの」ってなんだろう?と、みちのく博物楽団のみなさんと考えて、「かせき」にたどり着きました。

両館が持っている「かせき」の資料を、それぞれの視点から見つめてみたら、どんなことが分かるのだろう?

「かせき」って「石」になったものだけをいうのだろうか?

そもそも「かせき」って……?

話し合いの中で出てきた、素朴な疑問をテーマに、「かせきとは何か?」について、東北大学総合学術博物館やみちのく博物楽団のもっている「ホンモノ」の資料・標本に触れてもらいながら楽しく学んでもらおうという企画になりました。

一回目の実施は、11月11日(土)で参加者は17名(事前申込:2組4名、当日参加13名)、
二回目の実施は、2月17日(土)で 参加者は16組36名でした。

参加対象は小学3年生以上とその保護者に限定させていただきましたが、多くの方にご参加いただきました。ありがとうございます。

 

イベントでは、まず、参加者のみなさんに「かせき」ってどんなものをいうのかを写真だけを見て考えてもらいました。

「これは化石だと思うかな?」という問いかけに、教科書や図鑑などでよく見る化石には、みんなの手が上がりました。

続いては、「触る体験」と「観察」の時間です。

先ほど写真で見てもらったものが、「化石」と呼ばれるものなのか、そうではないのか。

どんなものの痕跡を示すのか、ということを、「ホンモノ」の資料に触りながら、各テーブルで解説を聞いてもらいました。子どもたちは、教科書や図鑑で見たことはあっても、実際に触るのはみんな初めてということで、とても興味津々に、時にはおそるおそる「ホンモノ」の資料に触れていました。

 

 

説明が終わると、各テーブルでそれぞれの資料のカードを渡しました。

裏面にはメモ欄があり、子どもたちに気づいたこと、感じたことを記入してもらえるようになっています。

このカードと当日配布したワークシートは、みちのく博物楽団の須田さんの力作です!

 

 

観察の時間では、子どもたちから質問が飛び交い、言葉で説明するだけでなく、動画や図鑑を使って、より詳しく解説したり、解説を聞いた子どもたちが、カードのメモ欄に気づいたことを一生懸命記入している姿が見られました。

中には、自分の持ってきたメモ帳に、アンモナイトの渦の巻き方についてをしっかりとスケッチしている子も。

 

 

地底の森ミュージアムに関連するテーブルでは、遺跡から見つかった植物の化石であるマツボックリや木の根っこ、黒曜石を観察してもらいました。

マツボックリが見つかったことで、現生のアカエゾマツや他の針葉樹と異なることがわかり、絶滅した種としてトミザワトウヒと名前がつけられたこと、また、石のようにかたくなっていなくとも「化石」と呼ばれるものがあるのだということに、子どもたちは驚いていました。

最後は、地底の森ミュージアムの展示室で見つかった化石からどんなことが分かるのかを、実際に遺跡を見学して知ってもらいました。

 

今回の企画では、子どもたちのイメージしやすい「化石」(アンモナイトや三葉虫など)と実際の化石との違い、また化石と化石でないものとの違いや、そうしたものからわかる当時の環境について楽しく学んでもらうことを目的としていました。

「ホンモノ」に触れ、観察することで、企画する側が想像していなかった以上に、子どもたちには化石に対する興味や探求心が芽生えたようでした。

アンケートのほとんどは「化石に触ることができて楽しかった」「化石についていろいろなことが知れて満足」と記入されており、中には、「化石に興味がなかったが、興味を持てるようになった」という意見や「子どもの付き添いで来たが興味深いお話がきけて良かった」という保護者からの意見もありました。

このように、子どもたちだけではなく、親子で一緒に楽しめ、子どもにも大人にも興味を持ってもらえる「きっかけ」となる企画を今後も行っていきたいと考えています。

 

(地底の森ミュージアム 鈴木英梨)

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