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東北大学植物園はじめましてレポート

新しくSMMAに参加したミュージアムを紹介する「はじめましてレポート」。今回は、東北大学植物園の情報をお届けします!

東北大学植物園は、1958年に東北大学が研究と教育のために設立した自然植物園です。約52万㎡ もの広大な敷地は、日本の大学植物園としては最大で、絶滅危惧植物を含む700種類以上の多様な植物や生物が生息しています。東北大学の川内キャンパスと青葉山キャンパスに隣接する植物園には、本館と展示ホールがある正面入口(川内キャンパス側)青葉山ゲート(青葉山キャンパス側)と入り口が2つあり、それぞれのキャンパスから入園することができます。

 
▲今回は、仙台市地下鉄東西線「国際センター駅」で下車して、正面入口(川内キャンパス側)へ向かうアクセスをご紹介します。国際センター駅の改札を出て左手にある西1出口を出ると、正面に近隣の案内マップがあります。

 
▲案内マップを見ると植物園までのルートはいくつかありますが、徒歩12分程でたどり着く最短ルートは、西1出口の正面にある横断歩道を渡り、左に歩くと見えてくる階段を上るルートです。階段を上った先にある「東北大学百周年記念会館(川内萩ホール)」を右手に見てまっすぐ歩くと、十字路にたどり着くので、左に曲がって下さい。

 
▲しばらく歩くと正面にロータリーが見えてきます。「植物園はこちら」という看板の案内に従いながら、正面の道へ進むと、植物園の本館・展示ホールにたどり着きました。正面入口には無料駐車場もありますので、車での来園もおすすめですが、青葉山ゲート側には駐車場がありませんので、お気をつけ下さい。他にも観光循環バス るーぷる仙台「博物館・国際センター前」バス停で下車しても、徒歩12分程でたどり着きます。

 
▲本館にある「展示ホール」には、園内で見られる植物や動物に関する展示や、日本の植生や昆虫に関する展示があるので、事前に見学すると園内を散策する際の参考になります。


▲こちらは、園内に生息する野生動物を紹介する展示です。国の特別天然記念物に指定されているニホンカモシカの他、キツネやリス、ウサギなど可愛らしい動物もたくさん生息していますが、見かけた際は驚かせないようにそっと見守ってあげて下さい。また、自然豊かな園内には、可愛らしい動物だけではなくハチやヘビなどの危険な生き物も生息していますので、散策の際は充分お気をつけ下さい。


▲こちらは、昆虫に寄生する不思議な菌類「冬虫夏草」のコレクションです。ライトアップされて並んでいる様子はとてもキレイなのですが、近くで見てみると寄生しているだけあって中々の迫力ですので、 ぜひ御自身の目でお確かめ下さい。

 
▲展示ホールで植物や動物について学んだ後は、いよいよ散策に出発です! 園内はとても広いので、看板の園内マップを見ながら自分にあった散策ルートを選んでみて下さい。ちなみに、外周をぐるっと一周すると約90分かかります。気軽に楽しめる20分程のコースもありますが、中には急な勾配があるルートもありますので、散策される際は動きやすい格好でお楽しみ下さい。

 
▲散策ルートを選ぶ際にぜひ参考にしていただきたいのが、東北大学植物園の公式ホームページです。 定期的に更新される「見頃の植物」のページを見れば、その時の旬な植物の名前と写真、観察できる場所が記載されているので、その日の旬な散策ルートが分かります。


▲また、こちらの公式ガイドブックもおすすめです。植物園のさまざまな表情を楽しむことができる15通りのおすすめのモデルコースと、園内で観察できる四季の花々が分かりやすく紹介されているので、ガイドブックを手に園内を散策すれば、植物園のさらなる魅力を発見することが出来ます。植物園の本館でも販売しておりますのでぜひ一度手に取ってみてください。

 
▲今回は、「見頃の植物(2019年4月10日更新)」と史跡を見学するために「前庭広場⇒最上台⇒望洋台広場⇒見晴台広場⇒沢道⇒ロックガーデン⇒前庭広場」と園内を一周するルートで散策することにしました。園内の入り口に向かうと、「史跡 青葉山」を紹介する看板が立っています。植物園のある地は、1600年に伊達政宗が築城を開始した仙台城の御裏林、通称「青葉山」として数百年にわたりほとんど人の手が加わること無く現在まで受け継がれてきました。自然植生であるモミの美林を始めとする貴重な自然生態系が残されていることから、1972年に国指定天然記念物「青葉山」に指定されています。


▲自然と同様に豊かな歴史を持つ植物園の園内には多くの史跡が残されています。散策を始めてすぐの所に「蒙古の碑と正安の碑」がありました。1287年に建てられた「蒙古の碑」(左)は陸奥の国司のために建てられた供養塔で、隣にある正安の碑(右)とともに、子どもの百日咳を治す霊験があると言われてきました。


▲こちらは、1710年に5代藩主吉村が建てた茶室「残月亭」があった場所です。植物園は、国指定史跡「仙台城跡」の一部に含まれるため、仙台城に関係する史跡も点在しています。

 
▲愛子方面に通じる古い街道の跡「最上道」を進んでいくと「望洋台」にたどり着きました。望洋台には5月に見頃を迎える桜「センダイヨシノ」を始めとする貴重な植物が植栽されています。この日は「見頃の植物」で紹介されていた「アブラチャン」が黄色い花をたくさん咲かせていました。植物園ではアルコールの持ち込み禁止や、ゴミの持ち帰りなど、自然を保護するためのルールを守れば、園内でお弁当を食べることができますので、これからの季節は、望洋台広場で季節の植物を見ながらお弁当を食べてのんびり過すのもおすすめです。

 
▲望洋台付近で「見頃の植物」を探しながら歩いていると、足下に小さな「ナガハシスミレ」を見つけました。植物を意識しながら散策すると普段なら見落としてしまいそうな小さな植物に出会うことができるので、とても新鮮です。

 
▲散策を始めて30分程でもうひとつの入り口「青葉山ゲート」にたどり付きました。このまま青葉山ゲートから帰ることも出来ますが、今回は一周するので、次の目的地「見晴台」を目指します。

 
▲見晴台へ向かう途中に、仙台城本丸背後の防備を固めるために、自然の地形を利用して作られた「堀切」の跡がありました。その痕跡は園内のいたる所に残されていますが、見晴台付近が最も原型を止めているそうです。また堀切付近には、”片栗粉”の語源で、春の花として親しまれている「カタクリ」が花を咲かせていました。

 
▲こちらは園内で最も標高が高い「見晴台」です。標高145mということで、街中ではすっかり溶けきっていた3月末の雪が、まだ一面に残っていました。見晴台は東北大学に移管される以前は、旧日本陸軍や、駐留米軍の訓練場として使用されていましたが、現在は樹木に囲まれた静かな広場になっています。見晴台から本館へ向かう道は、来た道を含めて3つありますが、今回は沢道へ向かう最短ルート「見晴坂」を下ります。実はこの道、園内にある急勾配なルートのひとつなので、不安な方は別のルートをお進み下さい。


▲急な道を下り終えると「沢道」にたどり着きました。涼しげな川のせせらぎを聞きながら散策できるルートなので、暑くなるこれからの季節におすすめの場所です。

 
▲沢道には湿地を好む植物が生息しています。この日は黄緑色の「ネコノメソウ」と、ネコノメソウによく似た赤紫色の雄しべを持つ「ニッコウネコノメ」が咲き誇っていました。この2つはとてもよく似ているので、「見頃の植物」やガイドが無ければ違う植物だと気がつかなかったかもしれません。

 
▲沢道を抜けた先には「ロックガーデン」があります。ロックガーデンには、主に東北地方の高山植物が植栽されています。この日は春らしい「マメザクラ」が見頃を迎えていました。


▲最後にたどり着いたのは、植物園の開園50周年を記念して整備された「もみじ庭」です。名前の通り、秋には周辺の「イロハモミジ」が美しく紅葉し、毎年11月3日(文化の日)に東北大学文学研究科と共同で開催するイベント「紅葉の賀」では紅葉を愛でながら俳句会や野点を楽しむことができます。

四季折々の植物や史跡を見ながら散策を楽しむことができる東北大学植物園。学びながら健康作りもできる、良いことづくしのミュージアムなので、ぜひ足を運んでみて下さい。

 

【東北大学植物園】

■開園期間:春分の日〜11月30日
■休園日:月曜日 ※月曜日が「国民の祝日」あるいは振り替え休日の場合、開園します。その場合、翌日が休園日になります。
■開園時間:9:00-17:00 ※16:00までにお入り下さい。
■入園料:大人230円(170円)、小人(小・中学生)110円(90円)
※()内は団体料金
※東北大学の職員、学生は無料。 ※職員証または学生証を提示して下さい。
■年間パスポート:大人1000円、小人(小・中学生)500円  ※個人のみ。有効期限は購入日から一年間。
■住所:宮城県仙台市青葉区川内12-2
■TEL:022-795-6760
■FAX:022-795-6766
■アクセス:詳細なアクセス情報はこちらをご覧ください。
【本館・展示ホール(川内キャンパス側正面入口)】
地下鉄/東西線「国際センター駅」下車、西1出入口より徒歩12分。または「川内駅」下車、南2出入口より徒歩12分。
観光循環バス「るーぷる仙台」/「仙台駅前」16番のりばから乗車、「博物館・国際センター前」下車、徒歩12分。
車/仙台市中心部方面より青葉通りを西進して広瀬川を渡り、そのまま直進。突き当りのロータリー交差点を左折。※無料駐車場有り(28台)

【青葉山ゲート(青葉山キャンパス側入口)】
観光循環バス「るーぷる仙台」/「①仙台駅前」16番のりばから乗車、「⑦青葉山植物園西」下車、徒歩3分。
※なお、仙台駅方面へお帰りは仙台市地下鉄東西線「T02 青葉山駅」が便利です。
※青葉山植物園ゲート側には駐車場がございません。車でお越しの場合は、本館側から入園して下さい。

 

(事務局・帖地)

 

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