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縄文の森で真剣クラフト

最近、なんだか気持ちが晴れない。夏真っ盛りだというのに、薄暗いオフィスでモニターとにらめっこの日々だからか?そんな時、見験楽学のイベント情報よりうってつけのイベントを発見。
「そうだ!これに行こう。」
ということで、行ってきました!仙台市縄文の森広場「夏休み特別イベント」。
イベントは、8月3日~5日の3日間限定で「三角とう形土製品風ミニ文鎮づくり」と「貝の勾玉づくり」の二つの特別体験が行えるというもの。今回は、夏らしい「貝の勾玉づくり」に挑戦しました。当方、手作り作業は満更ではなく、紹介文の「今回は難易度やや高めの内容で」というくだりが、制作意欲に火を付けます。

さて、イベントの会場は、縄文ムラ・広場に面した屋外体験空間です。大きな屋根が日差しを遮り、時折吹き渡る風が心地よい空間です。会場では、既に数組の親子連れが一生懸命制作に励んでいます。
まず、一端に紐通し穴が開けられた、小さな貝殻のかけらが沢山あって、その中から好きな一つを選びます。次に手渡されたのは、鉛筆、小さなお皿、砥石、荒目のサンドペーパー、布巾。体験空間内に置かれたテーブルの一つに陣取り、職員やボランティアの方の指導を受けながら、いよいよ勾玉づくりのはじまりです。

▲ 貝殻と勾玉づくり道具一式

「初めに、貝殻の表面に作りたい形を鉛筆で下書きします。その線に沿って、砥石を使って削っていきます。かけらの周囲が滑らかになるまで頑張って削りましょう」と、ボランティアさん。貝殻を、小皿に張った水に浸しては、一生懸命削り続けます。「通常勾玉づくりで使用する滑石に比べ、貝殻は結構固いので根気が入りますよ。」ボランティアさんがおっしゃる通り、なるほど、思ったよりも固くて結構手ごわい。

▲ 鉛筆で下書き。「何の形?」「秘密。」

ごしごし、がりがり・・・。思わず無言。もう、流れる汗も気にせず、ひたすら砥石に向かいます。芸術は即興が旨とばかりに(単に大雑把なだけだが)、当方は鉛筆の下書きなしに気の向くまま形作っていきます。もはや、勾玉というより、何かのツノみたいな形に!
「これは、北海道に生息するビノスガイの貝殻です。実際にこの貝で作られたおびただしい数の玉が、北海道の遺跡より出土しております。」そう教えて下さったのは、学芸員の平塚さん。埋葬品だったそうですが、古代の人々は、いったい何を思い、どのようにしてそんなにもたくさんの玉を加工したのでしょうか・・・。

▲ ひたすら砥石に向かってごしごし。

さて、どんどん削っていくと、はじめは角々が手に当たって痛いほどだった貝のかけらが、段々丸みを帯びてつるつるになっていきます。貝殻の筋がグラデーション模様みたいでとてもきれい。この絶妙のラインがなんとも・・・。
楽しい!ものづくりは実に楽しい!!子どもたちも、そしてお父さんやお母さんも、みんな笑顔でとても楽しそう。
暑いのも、時間が経つのも忘れ、ついつい真剣に取り組む自分がここに。もちろん、ここへ来る前のストレスもどこかへ吹き飛んでしまったようです。なんて心地よい汗。
「作品」は持ち帰り、細目のサンドペーパーで更に磨きを掛け、手持ちのチェーンを付けて完成。この世に一つしかない作品を時々眺めては、自己満足に浸るのも、これまた一興。

▲ 出来上り。右は事務局伊藤の作品。左は事務局石川の「鳥」。

今年の「夏休み特別イベント」は終了しましたが、縄文の森広場では、体験活動を随時行っております。滑石による勾玉の他、土器や石器を作ることもできます。
みなさんも、古代人の生活に思いを馳せながら、縄文クラフト体験はいかがでしょうか。子どもだけでなく大人も充分に楽しむことができます(注:当方のように、決してムキになる必要はありません。どうぞ気軽にお楽しみ下さい)。

仙台・宮城ミュージアムアライアンス事務局 伊藤則子

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