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特別展「国宝吉祥天女が舞い降りた!−奈良薬師寺未来への祈り−」レポート

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五色沼も緑に輝く今日このごろ、みなさまいかがお過ごしでしょうか。SMMA事務局吉田です。
GW2日目は新緑鮮やかな仙台市博物館にて開催されております、
東日本大震災復興祈念特別展「国宝吉祥天女が舞い降りた!−奈良薬師寺未来への祈り−」に行ってまいりました。
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さて特別展の公式サイトをごらんになっている方はすでにご存知かと思いますが、
今回の特別展ガイダンスはいつもとひと味違うものになっています。
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なんと薬師寺の僧侶の方によるガイダンスです。
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ちなみにこの日(5月2日)のガイダンス担当は生駒基達執事でした。お坊さまということで格調高いお話になるか、と思いきや軽快な話しぶりで聴衆を引き込み、大事なところはしっかりおさえ、ちゃっかり図録の宣伝も欠かさないその語り口。さすがの一言です。

ガイダンスのなかで印象に残ったのは、薬師寺はお葬式をしないお寺である、というお話でした。
薬師寺にはお墓もなければ檀家もいない、では薬師寺は誰のための寺なのか、という問いに対し、生駒執事はこう答えてくださいました。
薬師寺が祈っているのは国民の幸せである。
幸せとはご飯が食べられることである。
だから薬師寺では雨と風を司る龍神さまに、五穀豊穣をお祈りしているのだと。

特別展が俄然楽しくなるガイダンスでした。
なおガイダンスを担当される僧侶の方は時期ごとに変わりますので、公式サイトにてご確認のうえご来館ください。
会場内のショップで図録を購入すると、緑色(生駒執事曰く「ずんだ色」)の中紙に僧侶の方が一筆したためてくださるそうです。
生駒執事曰く「会期中に(僧侶)10人分くらい集めていただければ」
とのことなので皆さんの挑戦をお待ちしております。

 

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会場に向かう階段に掲げられたタペストリー。
ちなみにここに使われている写真は「昼」の薬師寺なのですが、観覧券やチラシに使われているのは「夜」の薬師寺の写真だそうです。
会場に入る前にお手元の観覧券と見比べてみてください。

 

会場内は撮影禁止なので、これ以降の様子を視覚的にお伝えすることはできないのですが、
観終わった感想としては、打ち震えた、というばかりです。
会場内には「吉祥天女像」や薬師寺ゆかりの仏像が十数点公開されていましたが、ひとつひとつの仏の表情や姿にただただ見入るばかりでした。
凝らされた技巧に目をみはるのはもちろん、仏像から光のようににじみ出る形容しがたい静けさに打たれるからだと思います。

それにしても、1300年も前の人々が畏敬と祈りをもって見上げていたにちがいない御姿を、1300年も後の時代の私たちが同じ気持ちで見上げていることにはとても不思議な気持ちがします。

 

東日本大震災復興祈念特別展「国宝吉祥天女が舞い降りた!−奈良薬師寺未来への祈り−」は、来月6月21日(日)まで開催しています。

 

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