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SMMA東日本大震災 ミュージアム被災と復旧レポート
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コラム
古動物ワールド仙台

【パレオパラドキシアの束歯】 4F自然史系展示室

仙台市科学館の化石展示の中に、「パレオパラドキシア(太古の謎)」という名前を付けられた絶滅ホ乳類の歯の化石があります。この動物は、のり巻きを束ねたような臼歯(束(そく)歯(し))を持ち、両あごには2本ずつの牙を持っています。カリフォルニアや日本の数カ所で、ほぼ全身の骨格がそろった化石が発見されるまで、どんな動物だったのか、古生物学者を悩ませてきました。さらに、古生物学者たちは、現生の動物骨格を元に、知恵をふりしぼりながら復元を試みますが、どのようにしても足の関節がうまくはまらず、最近までその姿は正確に復元されませんでした。Paleoparadoxia(paleo;古代の,paradox;謎の)の学名が付けられた理由がわかります。 

【パレオパラドキシア骨格標本と復元模型】 特別展展示物

パレオパラドキシアは、日本~北米~メキシコまでその分布が確認されていて、日本では、 20数カ所から産出の報告があります。体長は1.5m~2mほどで、海辺で生活し、海草やゴカイ、貝類などを食べていたと考えられています。現生のカバによく似ていますが、ガニ股で、陸上でも水中でも、のんびりと生活していたようです。カバのような姿ではありますが、ゾウやカイギュウに近い仲間です。約2,300万年前ごろ出現し、1,300万年前に絶滅しています。

【パレオパラドキシア仙台標本】 特別展展示室

仙台市太白区を中心に、1,600万年前の地層「茂庭層」が分布します。この地層が形成された頃の仙台は亜熱帯の海で、たくさんの種類の化石が産出します。そして、パレオパラドキシアも発見されています。2000年8月26日のことです。頭部や足は欠損していましたが、パレオパラドキシアの特徴である束歯や肋骨、椎骨の多くが残っていました。
また、この化石の周りにはサメの歯が散乱し、この個体が化石になるとき、サメと何らかの関わりがあったことがうかがえます。

仙台からは新生代第三紀とよばれる時代の地層が広がり、パレオパラドキシアばかりでなく、様々な動物の化石が産出します。古くから、東北大学を中心に化石や地層の研究が行われ、Sinomastodon sendaicus (センダイゾウ)、Pseudamiantis sendaica(センダイヌノメハマグリ)、Chlamys sendaiensis(センダイニシキ)、Conus moniwaensis(モニワイモガイ)、Balanus miyagiensis(ミヤギフジツボ)、Miyagipecten matsumoriensis(マツモリツキヒ)‥‥など、たくさんの化石が、宮城や仙台の地名に由来する名前で新種記載されています。これらは、世界共通の学名ですので、世界中どこで発見されても同じ名前が用いられます。

そして、約500万年前、仙台を中心に、寒冷な竜の口の海が広がっていました。ここで堆積した“竜の口層”から産出する化石動物群は“竜の口動物群”とよばれ、日本で同じ時代の化石群集を研究する時、必ず対比に用いられます。貝類の他、クジラなど大型ホ乳類の化石も産出することで有名です。
竜の口層は仙台市街地の地下にも広く分布していて、一番丁付近の“仙台市営地下鉄東西線”のトンネルから、実はたいへん多くの化石が見つかっています。開業に向けて工事が進行する地下鉄東西線、古の動物化石のトンネルを抜ける地下鉄で、まさにタイムトンネルのよう。太古へのロマンが感じられます。

※8月25日(水)まで、特別展「タイムスリップ!! 絶滅ホニュウ類ワールド ~恐竜にかわる地球の支配者たち~」を開催中です。世界~日本、そして仙台へと視点をかえながら、恐竜にかわって大繁栄した化石哺乳類たちと出会うことができます。もちろん、パレオパラドキシアもみなさんをお待ちしております。

仙台市科学館 学芸員/指導主事 西城光洋

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