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コラム
お猿電車で行く博物紀行Vol.2 「遊園地の電車ザルが動物園のボスザルへ転身?」その1

がったんゴトゴト、がったんゴトゴト、キキキーッ!ちわっ!おいらはデン吉!また会えて嬉しいよ。ところで、みんなは「自分はどこからやってきた何者なのか?」なんてこと考えてみたことはないかい?実はある人から「昔、藤崎デパートの屋上遊園地にいた電車ザルが八木山動物公園のボスザルになったって聞いたんですが、それってデン吉さんじゃないんですか?」って聞かれて、おいら気になって眠れなくなっちゃったのさ。そんなわけで今回は昭和30年頃の藤崎の屋上に行ってみるよ。

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写真1 藤崎屋上遊園地
(撮影:エイブラハム・リンカーン 昭和29年;仙台市歴史民俗資料館『なつかし仙台2 ―いつか見た街・人・暮らし―』p.23より)  ©Abraham Lincoln

大戦の空襲で焼土と化した仙台市街地も昭和20年代後半には復興の勢いに乗って建設ラッシュだった。昭和27年(1952)10月には、第7回国民体育大会が宮城・山形・福島の3県合同で開催され、宮城野原公園総合運動場やレジャーセンターなどが復興事業として作られていった。大町に店舗を構えていた藤崎も空襲で焼けてしまったんだけど、昭和27年には国体に合わせて地上3階・地下1階建の近代的な鉄筋コンクリートの店舗を増築、さらに昭和30年には西館を増しエスカレーターも導入して一部は5階建にと売り場を大きくしていった。このビルの拡張にあわせて屋上に作られたのがお子様向けの遊園地(写真1)。設置された遊具は、モノレール、飛行塔、観覧車、そして、お猿電車だ。キッキー。

藤崎遊園地豆汽車_大石氏撮影
写真2 サキコの乗ったお猿電車(撮影:大石昌 昭和31年3月)

藤崎遊園地豆汽車_大石氏撮影_拡大
写真3 同上(拡大)

運転手として雇われた(?)のは仙台近郊の山で捕獲された雌雄のニホンザルで、フジオとサキコと名付けられたよ。フジサキで、フジオにサキコとはベタなネーミングだね(なに?他人のこと言えンのかって?ほっといてくれよ、ブキーッ)。(写真2・3)をみると、パンタグラフが立った電気機関車型のミニ列車に子ザルがちょこんと乗っているね。これじゃ運転手というより車掌さんだな。フジオはきかん坊だったので、主に乗車したのはサキコだったらしい。親子連れがおサルを見て目を細めている様子が伝わるね。藤崎の屋上には他にもクマやシカ、クジャクなどの鳥類も飼われていた。店内で「歯科はどこですか?」(当時デパート内に歯医者さんがあった!)と聞かれた店員さんが、シカの檻を案内したなんていう笑い話もあるよ。
そもそも日本で最初のデパート屋上遊園地は、昭和6年(1931)に松屋浅草店にできた「スポーツランド」。はじめはその名の通り健康器具のようなものしかなかったのが、2ヶ月たらずでリニューアルして象のメリーゴーラウンドや豆汽車、コニーアイランド、かわらけ割りなどの遊具に入れ換えたら大盛況となったらしい。一番人気は空中ゴンドラ「航空挺」。その松屋浅草店もやはり昭和20年の空襲で焼けたんだけど、「ゴンドラがあったころを目指して再建に邁進しよう」を合い言葉に同年12月に再開にこぎつけ、昭和25年には大規模遊具施設「スカイクルーザー」を登場させて話題を呼んだ。戦後屋上遊園地は全国に広まり、仙台でも藤崎だけじゃなく、三越や丸光(現さくらの)にも作られた。その頃の子ども達にとって、デパートは「屋上遊園地」「お子様ランチ」「おもちゃ売り場」が3点セットでついてくる夢の空間だったんだ。そして昭和30年の「子供の日」に合わせて日本橋・三越本店が屋上遊園地でお猿電車「ニコニコ号」を走らせ人気を集めていたから、藤崎もその流行に乗ったんだね。
しかし、昭和40年代後半に大きなデパート火災が相次いで、それを機に消防法が改正されると、屋上の半分を空きスペースにしなければならないなど利用が制限され、遊園地も規模を縮小したり姿を消していった。松屋浅草店の遊園地も平成22年(2010)5月31日に惜しまれつつその歴史を閉じたよ。
さて、我らがフジオとサキコはどうしたかというと、デパートの拡張工事をきっかけに昭和36年4月三居沢にあった動物園にもらわれていくことになったのです。その先のお話はまた今度、今日は広瀬川のほとりが終点で~す。チンチーン。

デン吉(サル語通訳・すずき佳子)

 

【今日立ち寄った文献】
『藤崎170年のあゆみ』1990年 株式会社藤崎発行
『なつかし仙台2 ―いつか見た街・人・暮らし―』2006年 仙台市歴史民俗資料館編 仙台市教育委員会発行
『なぜ、子どもたちは遊園地に行かなくなったのか?』白土健・青井なつき著 2008年 創世社新書
『株式会社三越85年の記録』1990年 株式会社三越発行

【今日お話を聞いた人】
藤崎三郎助さん、大石昌さん、佐々木徳夫さん

 

すずき佳子(東北福祉大学・鉄道交流ステーション
※このコラムは2012年にウェブサイト「見験楽学」に掲載されたものです。

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