ARTICLE
2018/03/22
ニュースレター「Omnividens[オムニヴィデンス]」第56号
◉主なトピック
・企画展「県の石展」関連「宮城県の石」の産地・涌谷町箟岳周辺で砂金を採取しました
・SMMAミュージアムユニバース2017に東北大学総合学術博物館とみちのく博物楽団が参加しました
・「地学から災害を学ぼうin松島」を開催しました
・博物館実習Ⅵ(館園実習)を実施しました
◉東北大学で合成に成功したシガトキシンの展示を開始しました。
2018年1月17日から展示室2階にてシガトキシン展示がスタートしました。シガトキシンは世界最大の食中毒「シガテラ中毒」の原因物質です。熱帯海域に生息する渦鞭毛藻が生産する毒素が食物連鎖をつうじて肉食魚に蓄積され、その魚を人間が摂取すると、極端な知覚過敏などの深刻な食中毒を引き起こします。この原因を突き止めたのは安元健教授(東北大学農学部)で、さらに1989年に村田道雄博士(同)と協力してシガトキシンの化学構造を明らかにしました。その後2001年に平間正博教授(東北大学理学部)の研究グループが世界で初めてシガトキシンの全合成に成功しました。この快挙により中毒の予防や治療法の開発が可能となりました。
特注の展示ケース内ではシガトキシン合成の最終段階手前で生成された中間体の実物を展示しています(毒性はありません)。化学物質を紹介する特色ある展示をぜひご覧いただき、研究者の熱意を感じとっていただければ幸いです。(文=黒柳あずみ・根本潤)
■発行:2018年3月
■東北大学総合学術博物館
【お問い合わせ】
東北大学総合学術博物館
TEL: 022-795-6767