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SMMA見験楽学ツアー⑬ 片平キャンパス歴史散歩
2018年11月10日(土)【申込期間:〜10/29(月)まで】
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東北大学発祥の地である片平キャンパスは、1907年(明治40)の東北帝国大学創設以前から旧制第二高等学校や、仙台医学専門学校などの敷地としても使用されてきた長い歴史があります。これら片平キャンパスの建物の一部は昨年東北大学として初めて登録有形文化財にも登録されました。このツアーでは、普段はなかなか見学することができない施設を含め、キャンパス内に現存する特色ある近代建築や記念碑を巡りながら、東北大学と片平キャンパスの歴史を紐解いていきます。

*案内人:加藤 諭(東北大学史料館 准教授)

 

■開催日時:2018年11月10日(土) 10:00-12:00

■コース:

10:00  東北大学史料館前 集合

|     企画展「蛮カラ学生の学び舎〜旧制二高とキャンパスの変遷〜」鑑賞

|      

10:50  片平キャンパス巡り

|     第二高等学校記念苑・蜂章の碑

|     文化財収蔵庫(旧第二高等学校書庫)

|     尚志像

|     魯迅先生像

|     東北大学本部棟1(旧東北帝大理学部科学教室棟)

|     旧第二高等中学校 物理学階段教室

|     東北大学本部棟3(旧仙台医学専門学校 博物・理化学教室)

|     魯迅の階段教室(旧仙台医学専門学校六号教室)

12:00  東北大学史料館 解散

 

■参加費:無料

■定員:20名 (※応募多数の場合は抽選)

■申込締切:10月29日(月) ※必着

■申込方法:
ツアー名、お名前、住所、年齢、電話番号、ファックス番号またはEメールアドレスを明記のうえ、ファックス・Eメール・往復はがきのいずれかの方法で下記の問い合わせ先までお申し込み下さい。応募者多数の場合は抽選のうえ、結果をお申し込み時の連絡方法でお知らせします。

*お電話での申込みは受け付けておりませんのでご注意ください。

*お申し込み時にいただいた個人情報は、当該事業の連絡やお知らせのみに使用いたします。

 

【問い合わせ】
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レポート
SMMA見験楽学ツアー⑬「片平キャンパス歴史散歩」レポート

ミュージアムスタッフの視点から、仙台・宮城の知られざる魅力を探るツアー企画「SMMA見験楽学ツアー」。第13回は、2018年11月10日に東北大学史料館 准教授の加藤諭先生を案内人にお迎えし「片平キャンパス歴史散歩」を実施しました。

片平キャンパスを巡るツアーは今回で2回目です。昨年、東北大学で開催された「片平まつり」のジョイント企画として実施した第8回SMMA見験楽学ツアー「片平キャンパス歴史散歩」がとても好評だったため、今年も実施することとなりました。


▲昨年に引き続き案内人をつとめていただく加藤先生。

今回のツアーでは、東北大学史料館の企画展「蛮カラ学生の学び舎〜旧制二高とキャンパスの変遷〜」を解説付きで見学した後、片平キャンパスの敷地内にある旧制二高に縁の深い建築や記念碑、像を中心に巡りながら、片平キャンパスの歴史を紐解いていきました。

 
▲ツアーは、「東北大学史料館」から始まりました。東北大学史料館は、東北大学に関する記録文書や、歴史的な資料を保存・公開しており、その中には中国近代を代表する文豪・思想家の魯迅が留学していた頃の資料もあります。建物自体も1926年に旧東北帝国大学附属図書館の閲覧室として建てられた歴史あるもので、2017年に登録有形文化財に登録されました。半円アーチの窓や、ベルのような形をした屋根中央の塔屋が特徴的な、当時の片平キャンパスの雰囲気を現在に伝える重要な建築です。

 
▲まずは、普段なかなか入る機会のない史料館のバックヤードを案内していただきました。展示室裏の細い階段を上った先にある資料室には記録文書が所狭しと並べられています。歴代の入学者名簿や学籍簿を始め、学生の趣味や健康状態を記録した文書など様々な記録が保管されているそうです。

 
▲これほど様々な種類の記録を長期に渡って保管しているのは、他の大学でもあまり例のない珍しいことで、戦時中は資料を疎開させるなど、大切に守ってきました。


▲バックヤードの次は、展示室を案内していただきました。企画展を中心に解説していただく予定でしたが、参加者の中に史料館が初めての方や、魯迅がお好きな方がいらっしゃったので、急遽、常設展示も併せて解説していただきました!
魯迅記念展示室「魯迅と東北大学—歴史の中の留学生—」では、参加者の皆さんがバックヤード見学の時から気になっていた魯迅の学籍関係の資料を見ることができました。成績を見てみると、恩師として有名な藤野先生の解剖学で低評価の”丁”をとっていたり、テストの結果が142人中68番だったりと、留学中に悪戦苦闘していた魯迅の様子がうかがえます。

 
▲こちらは、常設展示「歴史の中の東北大学」で展示されている「恩賜の銀時計」です。1918年まで旧帝国大学の成績優秀者に天皇から贈られていたもので、前回のツアー同様、今回も特別に触らせていただきました! 展示ケースから取り出されたばかりの銀時計を、大切そうに手に取り眺める参加者の姿がとても印象的でした。

 
▲次は、企画展「蛮カラ学生の学び舎 〜旧制二高とキャンパスの変遷〜」を解説していただきました。こちらは、”朴歯(ほおば)の高下駄に破れた衣服”を身にまとった「蛮カラ」な学生たちが闊歩していた旧制二高を紹介する企画展です。

 
▲展示室には、学生が実際に着用した制服や羽織など「蛮カラ」な雰囲気を楽しめる資料がたくさんありましたが、中でも注目を集めたのは、応援団員が履いていた高下駄です。参加者の皆さんが、こんな下駄を本当に履いていたのかと、興味深そうになが眺めていると、加藤先生が高下駄を展示ケースから取り出し「歩くのは大変ですが、履いて立つ分には問題無いので、ぜひ確かめてみて下さい」と、なんと実際に高下駄を履かせて下さいました! 高すぎる高下駄を履いた参加者の皆さんは「見える世界が変わりました!」や「ぐらぐらすると思ったけど、とても安定している。」など楽しそうに感想をお話して下さいました。

 
▲こちらの大きな垂れ幕も応援団が使用していた物です。「雄大剛健」「鎧袖一触」という造語は、おおらかで心身ともにたくましくあること、困難を振り払いながら前へ進もうとする姿勢といった旧制二高の学風を象徴しています。

   
▲旧制二高のおおらかさを表すエピソードに校章の蜂があります。一般的に校章は規格が定められていることが多いのですが、旧制二高の場合は”蜂”であれば何でも良かったそうです。確かに展示資料の蜂はどれも少しずつ形が異なっています。加藤先生が把握しているだけでも40種類はあるそうで、規律や細かいことに捕らわれなかったという、自由な二高生の姿の表れではないでしょうか。

 
▲企画展で旧制二高について学んだ後は、片平キャンパスの中を歩きながら旧制二高に縁の土地を散策しました。まず最初に訪れたのは「第二高等学校記念苑・蜂章の碑」です。ここでは、旧制二高の同窓会が建てた校歌碑・蜂章碑と、移築された煉瓦造りの校門を見ることができます。

 
▲ここにも蜂のマークがありましたが、やはり違う形をしています!

 
▲次に訪れたのは、「旧 第二高等学校書庫(文化財収蔵庫)」です。イギリス積みの赤レンガが特徴で、窓の配置や装飾が建物の4つの側面全てで異なるデザイン性の高い建物です。歴史的にも大変貴重な仙台で現存する明治維新後に建てられた赤レンガ建築です。


▲現在はおよそ20万点の考古資料を保管する文化財収蔵庫として活用されていますが、残念ながら一般公開されていないため中の資料を見ることは出来ません。しかし、収蔵庫の横には現地から移された経ノ塚古墳と台町古墳群の石棺があり、こちらは自由に見学出来ます。参加者の皆さんも、まさかこんな所に石棺あるは、と思わず驚いていました。

 
▲次に訪れたのは二高生をモチーフにした「尚志像」です。1986年に創立百周年を記念して旧制二高の同窓会「尚志会」が中心となり制作しました。「蛮カラ」な出で立ちが目を引きますが、首元にある襟章にも注目してみて下さい。本来、旧制二高には理系(science)を表す「S」をつけた学生が大多数を占めていたのですが、尚志会の皆さんから「多数派をそのままモチーフにするのは面白くない!  二高らしくない!」という声があがったため、文系(liberal arts)を表す「L」の襟章がモチーフに採用されたそうです。「尚志像」の小さな襟章には旧制二高の精神をうかがわせるエピソードが秘められていました。


▲ちなみに「尚志像」は宮城県出身の彫刻家・佐藤忠良氏の作品で、像の足下には「CHURYO」の字が刻まれています。作品として大変完成度が高く、あまりに均整のとれた凜々しい姿に、像を見た尚志会の皆さんは「二高にこんなにかっこいい奴いたか?」と笑い合っていたそうです。

 
▲「尚志像」の近くには日中国交正常化20周年にあたる1992年に制作された「魯迅先生像」があります。台座の「魯迅先生像」の字は当時東北大学総長を務めていた西澤潤一氏によるものです。史料館に魯迅記念展示室が作られる以前は、気軽に訪れることができる唯一の魯迅縁の地だったため、中国から来た多くの留学生や観光客がこの像を見に来ていたそうです。

▲次に訪れたのは「旧 第二高等中学校物理学階段教室」です。キャンパスの東側にひっそりとたたずむこちらの建物は、1890年に作られた片平キャンパス内に現存する最も古い建物です。登録有形文化財に登録されておらず、一般公開もされていないため、知る人ぞ知る歴史建築となっていますが、補修時に外壁を建築時の白色にするなど、当時の雰囲気を現在に伝える貴重な建築ですので、片平キャンパスにお越しの際はぜひこちらまで足を伸ばしてみて下さい。

 
▲次に訪れたのは、1927年、1932年、1934年の3期に分けて建築された「旧 東北帝国大学理学部化学教室棟(東北大学本部棟1)」です。近くで外観をよく見てみると各期ごとに壁の風合いが異なっているのが分かります。櫛で引っ掻いたような細い溝も持つスクラッチタイルが特徴で、建築がお好きな参加者の方が「旧帝国ホテルにも使われたとても価値のあるタイル!」と嬉しそうに見学されていました。

 
▲最後に訪れたのは1904年に作られた「旧 仙台医学専門学校博物・理化学教室(東北大学本部棟3)」です。キャンパス整備に伴って仙台医学専門学校の建物の多くが取り壊される中、こちらは学生診療所として長年親しまれてきました。2014 年以降は公開施設などとして使用され、正面の扉から中へ進むと、外へつながるウッドデッキがあります。

 
▲ウッドデッキでつながれた先にあるのは「旧 仙台医学専門学校六号教室(魯迅の階段教室)」です。建築当初は「旧 仙台医学専門学校博物・理化学教室」の東側とつながっていましたが、キャンパス整備に伴う増改築を繰り返す中で現在の位置になりました。建物の東側正面の外壁を見ると今でも結合部の跡を見ることができます。


▲中に入ってみると「階段教室」という名前の通り、階段状に上がる作り付けの机・椅子が特徴的な教室が、当時の雰囲気をそのままに残されています。机の高さに合わせて窓の高さも上がっているのは珍しい造りだそうで、随所に工夫が凝らされています。

 
▲この教室ではドイツ語・物理学・化学など基礎科目の講義が行われ、魯迅は中央の前から3列目によく座っていたと言われています。見学に来たほとんどの方が、この魯迅の席に座るそうで、1988年に江沢民国家主席が来学した際にも、魯迅の席に座り想いを馳せていました。「魯迅の階段教室」は学術目的に限り、事前にお申し込みいただければ見学することができますので、ぜひ魯迅が藤野先生に学んだ教室を訪れてみて下さい。(※見学申込みはこちらをご覧下さい。)

旧制二高を始め、歴史的建築物や、魯迅など見所満載の東北大学片平キャンパス。1回のツアーだけでは中々全てをお届けすることはできませんが、東北大学史料館では、大学の歴史を紐解く企画展示や講演会、片平キャンパスの魅力を伝える「片平キャンパス建物ツアー」など様々な企画を実施していますので、史料館の活動にぜひご注目下さい!


▲当日、参加者の皆様にお配りしたしおりです。こちらからダウンロードできますので、ぜひしおりを手に片平キャンパスを巡ってみて下さい。散策の際は、東北大学の情報満載のポケットガイド「テクルペ」もオススメです!

(文:事務局 帖地)

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