◆森を歩くこと
現在、地底の森ミュージアムでは企画展「森の一年-地底の森ミュージアム2012-」を
開催しています。先日3月3日に、その関連イベント「森を歩くこと。-早春の氷河期の森観
察ツアー-」が、実施されました(3月17日も実施。詳細は下記をご覧ください)。これは、
地底の森ミュージアムの野外展示「氷河期の森」を、担当の学芸員とともに観察しながらま
わるというもの。まだまだ冬の寒さが残るこの時期ですが、森にはどんな春が訪れているの
でしょうか――。
◆小さな森の旅へ
3月3日。前日の夜に強風が吹き荒れましたが、午後にはおさまり、穏やかな天気になっ
ていました。とはいえ外はまだまだ厳しい寒さ。そんな中、開始時間近くになると、集合場
所の展望ラウンジに参加される皆さんが少しずつ集まってきました。まずは学芸員からチョ
ウセンゴヨウの松ぼっくりを見せてもらいます。まるでパイナップルのような大きな松ぼっくり
を見て、参加者のみなさんも一気に「氷河期の森」に引き込まれたよう。さあ、小さな森の旅
のはじまりはじまりです。
最初に向かったのは、グイマツです。昨日の風もあって、木のまわりにはたくさんの葉や
実が落ちています。「この葉っぱのじゅうたんは、今の季節限定ですね」という学芸員の言葉
に、あらためて足もとのやわらかな感触を確かめました。
森を進んでいくと、あちこちに小さな春が顔を出しているのを見つけることができました。
フキノトウが芽を出していたり、ハンノキの雄花が咲いていたり、ミズバショウが少しずつ
大きくなっているようすを観察しました。
さらに進んでいくと、前日の強風で倒れたハンノキがありました。後ほど植え直すために、
根の部分が乾燥しないようにブルーシートで包んであります。倒れた木の陰には、セリバオウ
レンが小さな白い花を咲かせていました。
その後、倒れた木の断面に残っている、カミキリムシが開けた穴も観察します。木に開けら
れたたくさんの穴に見入っていると、学芸員がポケットの中から何かを取り出しました。なん
とそれはカミキリムシの幼虫でした。そんな楽しいサプライズとともに、この日の小さな森の
旅は終わりました。
◆森にふれること
今回、氷河期の森で観察したものは、学芸員の解説がなければ見過ごしてしまいそうな、ささ
やかなものばかりでした。小さな花や木の中にいる昆虫、針葉樹をさわった時の感触や落ち葉の
踏み心地など、どれもが実際に森を訪れ、この目や手でふれなければわからないことです。
私たちの足もとにひろがる森を歩き、ふれること。それは、さらに広く豊かな世界への入り口
となるのではないでしょうか。
地底の森ミュージアム 吉田 葉子
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【森を歩くこと。-早春の氷河期の森観察ツアー】
◆日時:2013(平成25)年3月17日(日)
14:00~(約30分)※3/3、10は実施済み
◆集合場所:地底の森ミュージアム 1階展望ラウンジ
※事前申込不要、集合場所にお集りください
(入館料が必要です)。
※荒天時は屋内で実施いたします。
※詳しくは地底の森ミュージアムのホームページをご覧ください。