SMMA参加館の学芸員をはじめ現場スタッフによるとっておきの情報や、地域のミュージアムならではの旬な情報をお伝えする情報誌「旬の見験楽学便」。そのなかのSMMA参加館にゆかりのある人物にせまる特集「シリーズ人」から、SMMA参加館ゆかりの人物にせまる「シリーズ人」。第1回は、芹沢銈介(東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館)についてご紹介します。
芹沢銈介(1895-1984)
明治28(1895)年静岡県生まれ。東京高等工業学校(現・東京工業大学)工業図案科卒業後、染色の道へ。豊かな色彩感覚と表現で、独創的な作品を多数制作。昭和31(1956)年に型絵染の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。海外からの評価も高く、昭和51(1976)年にはフランス政府の招聘により、パリで大きな個展も開催。
染色から商業デザインまで 稀代のアートディレクター
文字や人、植物、風景など、さまざまなモチーフを文様として捉え、力強く生き生きとした染色作品を制作した芹沢銈介は、他分野でもその才能をいかんなく発揮。日本航空の仕事では海外旅行のパンフレットや機内食の品書き、カレンダーデザインを作成。川端康成の『雪国』の装幀や宮城県大崎市鳴子温泉にあるこけし店「老舗高亀」の看板デザインなども手掛けました。
▲甕垂文着物(芭蕉布 型絵染 1965年) ▲日本航空パンフレット
古今東西魅力あふれる工芸品を独自の審美眼でコレクション
芹沢銈介は、自らが“良い、美しい”と感じた工芸品を、時代や国籍を問わずたくさん収集したコレクターでもあります。アイヌの装束や琉球紅型、津軽の刺し子をはじめとした染織品・土人形・玩具・陶器などの日本のものから、アジアの少数民族の衣装、アフリカの面や人形、中南米の先住民の民芸品までさまざま。コレクションは染色作品のモチーフとして登場することもあり、インスピレーションの源にもなっていたのです。その数は戦後集めたものだけで6000点以上にものぼり、そのうち約1000点が東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館に収蔵されています。
▲津軽こぎん長着 ▲杯を持つ人形土器(ペルー)
【東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館】
住所:仙台市青葉区国見1-8-1
電話番号:022-717-3318
営業時間:10:00-16:30(入館は16:00まで)
休館日:日曜、祝日、大学休業日
入館料:一般300円、大学・専門学生200円
文:小原瞳
※このコラムは2017年3月発行の「旬の見験楽学便」に掲載されたものです。
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