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絵画の中の竹

現在、宮城県美術館のコレクション展示では、秋田県出身の日本画家・平福百穂(ひらふくひゃくすい)の名品、〈杜鵑夜〉(とけんや)という作品を展示しています。日本らしい湿度の感じられる竹林に月がかかる光景が描かれています。杜鵑とは、ほととぎすのこと。きっと、春の一夜、竹林でほととぎすの鳴き声が聞こえたときの風情ある情景を描いたものなのでしょう。

気になって、「竹」について調べてみました。竹がイネ科の植物であることもはじめて知りました。日本の竹は、ほとんどが中国原産のもので、120種、あるいは600種とも言われる種類の竹が自生しているとか。各地で工芸品の材料になっているのは、私たちもよく知るところですが、エジソンが電球を発明した際に、フィラメントとして日本の竹を使ったことは有名ですし、タイなどでは、繊維や紙の原料としても利用されているとのことです。どこの国でも、生活に密着した存在として、竹があることが想像されます。

では、竹の「花」はというと?一部の竹類は、周期的に開花し、その後、一斉に枯れることが知られており、マダケでは、その周期は約120年と推定されているそうです。長い長い生涯の最後に、花を咲かせて枯れるのですね。

さて、最後に美術館から宣伝をもうひとつ。

当館では、2012年9月22日(土)から、「東山魁夷展」を開催します。その中でも、東山魁夷が京都を描いた「京洛四季」のシリーズの一作、〈月篁〉という作品に、日本人の心の中に生きる竹林の、まさに理想の姿を見ることができます。日本と竹、この近しい存在に心を馳せつつご覧いただきたく思っています。

宮城県美術館 研究員 宮坂敦子

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