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空に輝く動物たち

「仙台市天文台と動物ってどんな関わりがあるの?」という声が聞こえてきそうです。しかし、天文台のある青葉区錦ケ丘は仙台市の郊外にあり、住宅地でありながら緑豊かで野鳥やリスなどの動物も顔を見せてくれるような環境なのです。先日は子ギツネが現れました。そして、ひとたび夜空を見上げれば、そこにはたくさんの星々が輝きます。

▲夏の大三角

さて、7月7日は七夕で、年に一度、織姫星と彦星が会うことを許された日です。このふたつの星も動物が関係しています。織姫星は、こと座に輝く星でベガという名が付いています。こと座の星の並びを見てみると、ベガとその隣に輝く星を結んで、Vの字ができます。この形が、ワシが翼を閉じて落ちていくように見えたことから、ベガにはアラビア語で「落ちるワシ」という意味があります。一方、彦星はわし座に輝くアルタイルという星です。アルタイルとその両隣に輝く2つの星を結んだ一直線が、ワシが翼を広げて羽ばたいているように見えたことから、アルタイルにはアラビア語で「飛ぶワシ」という意味があります。

日本では「織姫星・彦星」として、対にして考えられることの多いふたつの星は、ところ離れた場所でも「落ちるワシ・飛ぶワシ」として、対にして考えられていたのは興味深いところです。7月7日を過ぎても織姫星と彦星は空に輝き続けていて、仙台七夕まつりの頃には宵の空高くに昇っています。ふたりの間には、はくちょう座が描かれています。七夕の物語では、カササギという鳥がふたりの間に橋を架けてくれますが、夜空では大きな翼を広げた白鳥が橋を架けてくれそうです。

仙台市天文台には、望遠鏡を搭載した移動天文車「ベガ号」があります。この名前はもちろん、こと座のベガから名付けられたものです。その車体には「落ちるワシ」をモチーフにした絵も描かれています。ベガ号は仙台市内およびその近郊で天体観望会を開催しておりますので、みなさんのお近くで開催されるときにはどうぞお気軽にご参加ください。

8月29日(日)には、仙台市八木山動物公園にてベガ号による天体観望会を開催しますよ。詳しい開催内容や参加者募集方法は、近日中にこのサイトや天文台並びに八木山動物公園のホームページに掲載予定です。

次回も、『動物』をテーマに、SMMA参加施設の学芸員らがレポートを行う予定です。どんなお話しが聞けるか楽しみにしてください。

仙台市天文台 学芸員 松下真人

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