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メディアテークの謎をさぐる10日間

仙台を離れたというのに、せんだいメディアテークは、とても気になってしょうがない存在になっていく。建築のコンペや現代美術など、大学生になり出会う人や場面で、私が知らない姿が沢山みえる。里帰りを兼ねたインターンは、実際はどうなっているのか、皆が注目する理由を確かめるチャンスだった。

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smtインターンでやったことは、インターン生というくくりでは収まらなかったのではないか。『青葉縁日3』では、搬入から搬出までのお手伝い、誰よりも楽しむ参加者、装飾や企画をするという自分自身が仕掛けを投げかける立場にもなった。『gobantubucafe』のまちづくり親父による説教トークでは、参加者としてトークに聞き入るうちに、仙台市民になったつもりで仙台の交流の場について考えていた。チューブで囲まれた階段に、現代美術のしかけを入れることで面白い空間にしていく『5番チューブ再開発計画』の業務自体は1日。けれども、会期中に変化する過程を伺うこと自体が、私にとっては魅力的で、企画自体の意義を考える観察者になっていた。他のインターン生も、それぞれの得意技や思いついたことをもとに、仕掛人、デザイナーなど色々な立場で関わっていた。

きまっているようで、きまっていない。それがsmtに通いながら覗くことのできた、何かが起こっている現場の魅力だ。例えば、青葉縁日3では、竹ぽっくりから自転車、御神輿まで、様々な乗り物を会場内で乗り継いでいく過程を楽しむ作品があった。子供に大人気だからこそ、時間帯によって会場内は乗り物の危ない使い方が目立ち、繊細な作品には大変危険。会場管理のインターン作業で、そんな不安要素の解決案を考える機会があった。インターンの仲間達とブレインストーミングをしながら、学生だからこそ堅苦しくならず、遊び心一杯盛り込んで考えたのは、会場内の交通安全を守るおまわりパトロール。会場監視のインターンやスタッフが、手作りのお巡りさんの格好をし、優しいおまわりさんとして監視をした。会場内の交通案全を守る、という名目のもとなら危ない場面を注意することも、会場案内もできる。なにより作品を思う存分楽しむ雰囲気は壊さないでいる所がいい。担当学芸員さんの許可を頂き、色々な人に見守られながら、期間中の交通安全を守る仕掛けとして活用された。

現場で見えてくる問題や、発展させられる部分に、自ら投げかけをする機会が沢山あった。大きな枠組みの“きまっていること”に対し、学生だからこその視点で“きまっていない”部分に入り込めた。現場でのライブな反応により、企画が変化していくスピードは心地よく、学校では実感できない手応えがある。アイディアに耳を傾け、実施させてくれる余裕があるsmtインターンのあり方は、とても贅沢でありがたい。仙台は街の規模、学生や色々な目的の人が集ってくる場所であり、環境は羨ましいほど揃っていると実感した。誰かに必要とされる、反応がきやすい現状がありつつ、街や人には、きまっているようで、きまっていない、まだまだ変化する部分がもっと隠れている。そこに、街の人達がどんな風に入り込むのか、またしても仙台やsmtの投げかけが気になってしょうがなくなった。 私は、芸術の仕掛けを使いながら、いい雰囲気を作っていきたいと考えている。世界、生活規模のあちこちで矛盾が出始めている中、何がいい雰囲気なのか把握できない状態や、専門も立場も定まらない自分を歯がゆく感じる。smtインターンで覗いた、きまっているようで、きまっていない部分に、なにかヒントがあるように感じた。メディアテークの謎は深まるばかり。私の課題と疑問も深まるばかり。色々な関わり方で、街や人、コトから浮き出てくる、決まっていない部分に入り込んでいきたい。

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志村晴海(筑波大学芸術学群3年)

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