見験楽学

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見験楽学イベント

SMMAトピック

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▲制作の準備段階で、このような20分の1のマケット作りが続いた。

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▲2階展示室の展示風景(部分) 「撮影:山本糾」

「高山登展」は、当館でもこれまで度々話題に出ながら、実現できなかった展覧会ですが、今回、宝くじの助成事業に採択されたほか、様々な援助をいただいて、なんとか開催にこぎつけることができました。
 

高山登は、枕木によるインスタレーション(立体造形)によって知られる、日本の現代美術の第一人者です。25年間宮城教育大学で教え、地域に大きく貢献してもきました。このような現代美術における重要作家の、過不足ない紹介は、美術館の使命の一つですが、そういう展覧会が開かれる機会は、実はまだまだ少ないのが現状です。今回の「高山登展」がその一つと呼べるようになるためにも、何に注目して構成するかが課題でした。
 

高山の作品は、その場に立ち会った私たちが「今ここで何を感じるか」がその全てであるともいえます。そこで、最も注意したのは、単なる「回顧」はやめて、高山登の「現在」を最大限提示すること。そして、できれば高山登の新しい面も見えるようにしたい、ということです。そのため、再制作は行わず、全て新作のインスタレーションとすることにしました。作者は、東京芸大の後期授業をキャンセルして仙台入りし、ドローイング制作から、20分の1のマケット作り、そして実際の制作へと、全力を傾けて準備いただくという幸運を得ました。メイン会場となる2階の展示空間では、作者撮影の映像が投影され、そこにノイズ音を絡ませる新しい試みがなされて、これまでの高山登像を一新する作品世界が生み出されました。
 

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▲中庭での展示風景(部分) 「撮影:山本糾」

もう一つは「スケール感をどのように伝えるか」です。かつて作者は、横浜市戸塚のアパートに付属した1000坪近くの野外空間を縦横に使ってグループ展を開き、近年では杜の湖畔公園の野外スペースで、半年以上続く野外展を開催しています。そのような作者のスケールの大きさを伝えるには、一つの展示空間では限度があります。2階展示室全体を一つの作品空間とし、さらに上空が開放された中庭、コンクリート打ち放しの屋外倉庫、天井高10mのエントランスホールと、館内4箇所で作品を展開するプランへとまとまっていきました。枕木も300本をこえる最大規模となりました。

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▲『TAKAYAMA NOBORU 1968-2010 遊殺』(発行:赤々舎)

そしてこれら新作を掲載し、展覧会までに一般書籍として出版するために、旧年中に展示を終え、撮影までもっていく強行軍となりました。デジタルで撮影し、候補写真を選び、雪の中を車で東京へ帰るカメラマンの山本糾氏を見送ったのは、大晦日の夜8時半を回っていましたが、なんとかめどをつけることができ、山本氏には感謝の一言です。同書には新作の写真とともに、作者のこれまでの活動歴、実に378項目を、文献とともに時間軸に沿って整理し収録できたことも、もう一つの大きな収穫です。作者のこれまでの活動は膨大で、それゆえか間違いも少なくなく、それがずっと踏襲されてもいて、この機会にぜひ訂正したかったからです。そして、予想以上の度肝を抜く迫力の本に仕上がりました。

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▲雪景色の中庭も必見です。

「高山登展」は多数のイベントをまじえて、3月28日(日)まで開催します。ぜひ一度、宮城県美術館へと足をお運びください。たぶん美術の価値観が大きく変わるはずです。

■書籍
『TAKAYAMA NOBORU 1968-2010 遊殺』
図版:「高山登展」での新作、過去の主要作品写真
エッセイ:「覚え書き」高山登/「事物と歴史」宇野邦一/「高山登 ―枕木・呼吸する空間―」和田浩一/「十字路断章」高山登(文献再録)
資料編:高山登活動歴データ、自筆文献目録等
監修:宮城県美術館
発行:赤々舎
ISBN978-4-903545-54-7
 
■関連企画
[シンポジウム:高山登のいまを語る]
椹木野衣(美術評論家)×高島直之(美術評論家)×高山登
3月14日(日)、午後1時30分より、アートホールにて
[パフォーマンス] 田中泯(舞踊家)
3月20日(土)、午後2時より、2階展示室にて
[対談] 田中泯(舞踊家)×高山登
3月21日(日)、午後2時より、講堂にて